日刊ニュース

2016.01.21 のニュース

自動車に劣らぬ石油産業へ

各地の新年会では、元売統合に関する話題が目立つ。先行したメディア報道が現実化、より大きな動きへと広がり、元売首脳の一部も今年の「激動」「激変」を示唆するなど、石油業界は大きな局面を迎える。統合を進める元売4社と、これに構える元売。物流提携やブランド問題なども絡み、先行きは読み切れない。各々の系列業者は、各社トップの発言を注視している。石油の安定供給を第一義に掲げた元売が、万が一にも恣意的に系列店の選別を行おうとすれば、一般消費者から“馴染みのSS”を奪うことになりかねない。
 マスメディアは昨年、JX・東燃ゼネラル統合に際して「トヨタグループに次ぐ巨大企業の誕生」などと報じた。2014年度売上高はトヨタ27・2兆円を筆頭に大手5社(ホンダ、日産、マツダ、スバル)合計で57・8兆円。これに対し、JX10・9兆円、東燃3・4兆円の計14・3兆円。一方、出光4・6兆円、昭シェル3兆円の計7・6兆円。コスモを加えた大手5社合計は26・1兆円。つまり、元売は自動車の半分弱だ。ところが、営業利益は自動車5社の4・6兆円に対し、元売5社は4500億円の“赤字”。在庫影響を除いた経常利益相当額でみても4100億円にとどまり、売上高2・9兆円だったスバル1社の営業利益(4200億円)にも満たない。
 さらに、今年度見通しの売上高は自動車5社で60・9兆円だが、元売5社は20・7兆円と3分の1に縮む。JX・東燃計12兆円、出光・昭シェル計6・3兆円で、トヨタ(27・5兆円)、ホンダ(14・6兆円)、日産(12・2兆円)などのリードが広がる。営業利益では自動車5兆円に対し、元売は2千億円弱。売上高3・1兆円で6位のスズキ(1950億円)1社と同水準だ。
 今年度政府予算ベースで、ガソリン税2・7兆円、軽油引取税9400億円をはじめ石油諸税総額4・4兆円、さらに消費税1・7兆円の計6・1兆円を徴税している業界として、元売の実質利益はあまりに少な過ぎないか。内需減を認識しつつ、前年対比並み以上の量販を指向し、他方で余剰玉の生産・放出を続ければ、系列SSがしわ寄せを受ける。その歪みを事後的対応で折り合いをつける。こんなことを繰り返していたら、精販ともに疲弊は免れない。元売統合・再編は「販売業界にもプラスに働く」ものであるべきだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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