日刊ニュース

2016.01.22 のニュース

原油20ドル代の予想外の低位 石油開発は、我慢して飛躍を待つ時期

原油価格は続落しており、石油業界の業績に大きな影響を与えている。1月に入り一段と値下がり20ドル/バーレル台となったが、2011年から100ドル台の高価格が約三年半も続き、15年は平均で約50ドルまで下落した。年末は34-5ドルであったものが、16年明けでは足元は20ドル台に下落している。
原油価格急落で直接の影響を受けるのが、石油開発業界、元売の石油開発事業部門となる。原油安は即減益となる。この20ドル台が1-3月も続く事になると、さらに悪化する。通期の決算では、一段と厳しい状況となる。
下期の見通しでは原油を50-60ドルを見込んでおり、原油価格の予想外の下落には憂慮している。長期の原油価格の下落となっているため予算の見直し、合理化策の推進、投資計画の見直し、開発計画の再検討、生産時期の見直し、などが行われている。コントラクターには、計画の停止、見送りの要請が出ており、原油価格の値上がりを待つケースが多くなっているため、作業が減少しており、石油開発業界より厳しくなっている。
原油価格が20ドル台に値下がりとなれば、残りは、あと20ドルであるとの開き直りの見方もあるが、石油開発業界としては我慢のしどころとなっている。原油安は、過去にも経験しており、今までの高価格の時期を冷静に振り返り、飛躍のための反省時期として捉えている。
しかし、大幅減益となるのは、確実視されているため、業績を見通しながらの取り組みとなる。低油価は、生産油田の買収、権益獲得のチャンスとの見方もあるが、まだ売り手、買い手の双方の思惑に隔たりがあるのか、具体的な案件は出ていないようである。好条件の案件は出ていないこともあり、様子をみる状況にある。将来の原油価格をどう見るのか、低位が当分続くとなると、今、買っても赤字となるため、その判断は難しい。
最近でも、LNGも高騰で商社などが天然ガス開発に参加したが急落で巨額は評価損を計上した失敗例もあり、開発投資は、ハイリスクを経験しており、投資熱は冷えている。石油、天然ガスとも供給増となっており、先行きの販売先も困る状況にあるため、投資には慎重になっている。
原油価格が値下がり局面となると、市況は足元の原油価格に連動する方式を採用しているため、現在の処理しているのは高値原油となり、時間的なズレからもマイナスとなる。このマイナスは、値上がり局面では挽回できるが、値下がり局面では、在庫評価損とダブルで効いてくる。在庫評価損は、備蓄法により、大量な在庫を持つために発生するものである。税法上の時価評価によるものであり、制度改正などを要請しているが、解決策はない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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