日刊ニュース

2016.02.01 のニュース

SSの総合エネルギー企業化

運輸部門における燃料利用多様化の動きが、今後、加速していくことが見込まれている。運輸部門では実に95%以上をガソリンや軽油などの石油に依存しており、石油の重要性が際立っている。
 しかし、石油のほぼ全量を輸入に頼り、調達先も中東諸国など偏在性も高いために、原油輸入途絶や大規模災害発生時などの緊急時・危機時における国民生活、経済活動の基盤となる人の移動や物流が麻痺しないよう、運輸部門における燃料多様化を図ることが重要な課題となっている。限りある天然資源である石油を次世代に引き継ぐため、一層の燃費改善による持続的かつ効率的な石油の有効活用も不可欠となる。
 政府が掲げる次世代自動車の2030年新車販売普及目標では、HVが30~40%、EV・プラグインハイブリッド車が20~30%、燃料電池車が3%など、普及に向けた自動車メーカー間の競争が本格化していく。
 燃料多様化は自動車の電化だけでなく、ガス利用の拡大も進むとみられる。主にタクシーで利用されるLPガス車は、LPガスハイブリッド車や軽油にLPガスを混ぜて使用するデュアルフューエル方式などの実用化が見込まれる。貨物輸送の分野では、中国や米国などでCNGトラックに加え、LNGトラックの導入・普及が進み始めている。本格的な実用化にはまだ時間を要するだろうが、食糧競合などの問題を回避するセルロース系のバイオエタノールや微細藻類などを原料としたバイオ燃料の研究開発も進んでいる。
 内需減や電力・ガスの自由化を見据え、元売会社の総合エネルギー企業化への経営統合や事業再編が大きくクローズアップされているが、将来的な燃料多様化の流れを考えると、消費者・需要家に最も近いところに存在するSSこそが、総合エネルギー企業への成長や変貌が期待されるのではないだろうか。
 今後、SSは地域コミュニティーの中心的な存在として、まさしくサービスステーションとして、消費者・需要家のニーズに応じた多種多様な燃料・エネルギーの供給、顧客の安全運転をサポートする油外商品の販売、カーケアサービスの提供、過疎地においては日用品の販売・配送などのSSの多角化・複合化、灯油配送を通じた高齢独居世帯の見守りサービス等々、その重要性はさらに高まっていく。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE