日刊ニュース

2016.02.05 のニュース

守り抜くべき“最後の砦”

 先週、長野県内で雪の重みなどによって倒れた木が道を塞ぎ、宿泊客が孤立したホテルは停電で暖房器具が使えず、「石油ストーブや毛布がヘリコプターで届けられた」などの報道がみられた。「石油」は再び“最後の砦”となった。
 過去10年を振り返れば、関東管内に限っても「平成18年豪雪」では新潟・長野両県を結ぶ国道が長期にわたって通行止めとなり、孤立世帯への燃料供給に地場業者が奮闘。同時に平地の販売業者も、灯油を品切れさせないように量の確保を最優先しながら、SSフィールドの整備、道路から顧客ホームタンクに至るまでの配送作業に休暇返上の勢いで奔走した。「平成26年豪雪」では甲信地方を中心に交通網が麻痺して孤立地域が出現、山梨・長野両石商の組合員が災害時協定に基づく機能などを発揮して復旧・復興作業も支えた。
 大雪災害では、暖房用灯油・重油や除雪用軽油・ガソリンが生命まで左右する場合すらある。この「命綱」は、決して緩めてはならないものだ。「競争でSSがなくなっても、隣町までクルマで走ればいいのだからなんの問題もない」と言い切れる状況は、過ぎ去ったのではないか。それほどに、SS網には綻びが見え始めている。燃料油マージンが薄まる中、SSを閉め灯油販売に特化して生き残るのは、殊更に容易ではない。
 他方、燃料供給に先んじて、石油機器の存在が不可欠である。しかし、例えば石油ストーブの販売台数は、東日本大震災後の11年度に前年比9割増247万台と急伸したものの、翌年以降は再び減少傾向に転じ、今年度予測は130万台とほぼ半減。安全性は一層向上したが、買い替えが進まないと尻すぼみは不可避だ。
 幸い、好材料がない訳でもない。灯油価格が大幅に軟化し、暖房需要期(11~3月)ベースで今冬(1月25日まで)の全国平均店頭価格は㍑71・6円と前期比19円安、前々期比では32円安。09年度期とほぼ同値に戻り、直近は63円で約1年半前に比べると実に45円も値下がりしている。そして、石連試算による競合エネルギーとのコスト比較(1KW時あたり)も、昨年12月時点で灯油1に対し都市ガス1・8、LPG2・7、昼間電気4・2と、ここ5年間で断トツの競争力を持っている。
 寒冷地はもちろん、「どこでも灯油」。安定供給と便利な配達を訴求し、暖かな暮らしを支え続けたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE