日刊ニュース

2016.02.09 のニュース

破壊か協調か、JAの二律背反

全国のセルフSS比率の近況は、石油情報センターの昨年9月末数値は28.7%だが、分母が3月末となっているから、ほぼ30%と推計できる。5大元売の12月末のセルフ率は、比率の高い順に東燃ゼネ41.7%、コスモ33.8%、昭和シェル30.6%、出光30.2%、JXエネ26.4%となり、系列を問わずに、大都市近郊で高く地方部で低い、という傾向が見える。情報センターによる都道府県別セルフ率は神奈川、埼玉、石川、香川、愛知が上位5県で、ほぼ40%前後となる。
 ここにJASSを加えてみると、JAのセルフ率は32.7%で、系列別では出光、JXエネを凌ぐ。拠点数が2SSと少ない大阪の100%は埒外として、JAのセルフ率上位5県は愛知、埼玉、宮城、石川、兵庫。元売系列と似通った地域名が登場するが、そのすべてで50%を超えるうえ、地方部では元売系列のセルフ率を大きく超える地域が多い。当時の外資系元売出身者の肝いりで、大きくセルフ化へ舵を切ったものとされるが、その足跡が数字に現れている。全国を束ねるJA全農の動きとともに、単位農協の広域合併が進むと同時に小規模・老朽化したSSを急速に集約・大型セルフ化されたケースも多いという。
 その集約の際にSS過疎地問題が急浮上した地域も多く、集約を躊躇するという「地域」重視の姿勢を示すところがある一方で、効率化のためのセルフ化という目的から逸脱、地域最安値に張り付けて数量の極大化に踏み出す事例が多く、そうした地域の地場SS業者の視線では、ジョイフル本田やコストコSSと同属に映る。JAの一人勝ちにより地域専業者が疲弊、SS過疎地化を促す。従来から地域専業者と「協調」路線を示し続けるJAもあるが、独善路線に切り替わって、地場SSとの接点さえないところも増殖中だ。
 「新規入会で2ヵ月間、ガソリンと軽油を10円引き」というJAの一般客向けのカード優待のセールストークは、5元売よりも値引き額の大きい表現がされている。JASSのホームページを開くと、「組合員の方はもちろん、組合員でない方も安心してご利用いただける」旨のPRが現れる。廉売による量販推奨にしか見えない経営指導ではなく、組合員サポートに徹して、地場の純民間専業者の経営を圧迫しない、という一線の内側にJASSを戻す指導がJA全農の使命であろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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