日刊ニュース

2016.02.16 のニュース

正念場迎えるガソリン市場

100円という価格水準が、ガソリン市場で存在感を増している。石油情報センターによれば、2月1日現在のガソリン全国平均は㍑113・4円だったが、末端市場では100円割れのSSがジワジワと拡大している。コストコが90円割れを打ち出したころには100円割れですら衝撃的だったが、いまや100円割れは安値の底辺を形成する勢いで、急速に特殊性を失いつつある。
 100円という水準が存在感を増す要因は、もちろん原油の急落にある。昨年6月に㌔㍑5万円近かった中東産は、半年余りの間に一気に2万円割れまで暴落。2月に入ってわずかに反騰の気配も見られるが、2万5千円にすら遠く及ばない。これに連れて、昨年6月には㍑142・9円だった情報センター価格も、一気に30円近く下落した。
 一方で、ガソリン価格100円とは客観的にどういう水準なのか。改めてガソリン1㍑あたりの内訳を見てみると、ガソリン税53・8円、石油石炭税・温対税2・54円、消費税が税金分だけで4・51円となり、合計では税金だけで60・85円、100円ガソリンなら実に6割強に及ぶ。
 従って税込み価格100円なら、本体価格は39・15円、税抜きで36・25円となる。この中に原油価格、精製コスト、運賃、販売口銭すべてを含むため、2月初旬時点での中東産原油を円/㍑換算で22・7円、運賃を1・5円と仮定すると、精製・販売を併せたマージンは12・05円しかない計算となる。
 精製だけあるいは販売だけならともかく、精製・販売併せて12円強というこの金額は、どうみても低い水準と言わざるを得ない。100円割れとなればなおさらだ。今後、原油価格の低迷が長引けば、100円あるいは100円割れの販売価格はさらに拡大する可能性もあるが、それは明らかに、販売業者の経営が強く圧迫されることを意味する。
 しかも、4月には温対税が0・26円引き上げられ2・8円となる。さらに来年4月からは消費税が10%に引き上げられ、税金の総額は61円を超える。税金分を転嫁できず、小売価格が現状のまま低迷するようなことになれば、多くのSSが窮地に立たされることになる。いま必要なのは、100円割れガソリンが拡大する安易な風潮を、SS経営者一人ひとりが断ち切ることだ。ガソリン市場は正念場を迎えている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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