日刊ニュース

2016.02.17 のニュース

需要減への怯えを払拭

低空飛行を続ける原油価格に連鎖し、ガソリン価格が下落した。
 一昨年夏まで約3年半にわたってバレル100㌦の高値に張り付いていた国際原油市況は、世界経済の失速による供給超過などを背景に下落局面に転じた。昨年1月には50㌦台前半に急落、わずか半年で半値レベルに沈んだ。OPECが減産に踏み切らず、事実上、価格下落を容認したためさらに続落し、1月中旬には一時50㌦を割り込む。その後、60㌦台まで回復したのもつかの間、イランの核協議合意や中国をはじめとした世界経済の減速懸念で、供給過剰感が再び台頭し、油価は再び下落局面に突入。昨年12月OPEC総会では、生産目標が設定されず、減産の方向性が示されなかったため、油価はもう一段下落し、足元は30㌦台前後という04年6月以来11年半ぶりの低水準に陥っている。当面は世界経済の失速による供給超過、高在庫を背景に下値を試す展開が続くと予測され、供給超過が解消して上昇に転じるのは今年後半にずれ込むといわれ、当面、低油価状況が継続するとみられる。
 大消費国の米国・中国などでは、低油価を背景に需要が伸びているようだが、日本では100㌦時代に縮まった需要に伸びる兆しが一向に見えない。日本エネルギー経済研究所の短期需要見通しは、今年度のガソリン内需はうるう年影響や前年度の天候不順からの反動、小売価格の下落などにより、0.7%増の小幅な上昇にとどまるとした。小売価格の下落が需要減の流れに一時的に歯止めをかけたという見方もできるだろうが、もはや日本においては価格下落が需要喚起の切り札にならないという構造的な需要減退期に突入したと言えるのかもしれない。
 しかし、こうした構造的な需要減に見舞われているにもかかわらず、首都圏など各地で採算を疑わざるを得ないような安売り合戦が散見される。コスト競争力に裏打ちされた競争であればなんら問題はないが、精販ともに収益悪化に苦しんでいる経営状態でも赤字を垂れ流すような競争は正常な競争とは言えない。
 販売量の減少に怯え、売り急ぐべきではない。販売量の拡大を目的とした価格競争から脱却し、適正なマージンを確保して再投資可能な収益構造への転換を図らなければならない。安売りに頼らない、顧客を呼び込むための創意工夫がものをいう時代になってきている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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