日刊ニュース

2016.02.19 のニュース

元売決算と小売市場の不均衡

昨年12月末における大手元売5社の連結決算が出揃った。いずれも原油価格の大幅下落に伴い売上高は減収、在庫評価損も発生したものの、本業の“正味”損益は前年同期に比べて改善傾向がうかがえる。
 昭和シェル石油と東燃ゼネラル石油は2015年通期。昭シは在庫評価損548億円を除いた石油事業の営業利益相当額で3.7倍の510億円を計上、東燃ゼネは在庫評価損871億円などを除いた石油事業の調整後営業利益が4.5倍の798億円と、両社の実質利益は大きく良化。東燃ゼネはその主要因として、611億円のマージン改善を挙げた。
 15年の年間ガソリン販売量は、内需全体が0.9%減の5311万㌔㍑だったのに対し、昭シは0.1%増の870万㌔㍑で国内シェア16%、東燃ゼネは2.1%増の1084万㌔㍑で20%を占めた格好だ。
 今通期の連結業績予想は、昭シがドバイ原油30㌦(前期は50.8㌦)、米ドル為替レート120円(121.1円)を前提に、在庫評価損180億円を除いた石油事業の営業利益相当額で560億円。東燃ゼネはドバイ35㌦、為替122円を前提に、在庫評価損ゼロを想定した石油事業の調整後営業利益で470億円。実質ベースでは昭シが1割の増益、東燃ゼネが4割の減益を見込んでいる。
 一方、3月期決算3社の今通期業績予想は、JXホールディングスの石油製品実質経常利益が26%増の720億円、出光興産の石油製品実質営業利益が3.4倍の610億円とともに増益、コスモエネルギーホールディングスの石油事業実質経常利益は75%減の55億円で減益と見通された。直近の元売決算は在庫評価損が膨らみ、外形的には赤字に映っても、正味の石油事業は全社とも黒字基調ということになる。
 翻って、石油小売業はどうか。運営経費を削り続け、消防規制に大きな対策コストを投じ、人手不足への対応も迫られている。ところが、SS市場を見渡すと、標準的な系列仕入れでは考えられないような市況に、当事者からさえ「追随するしかない」との声も漏れ聞く。中小SS・一部例外を除いた量販店ともに厳しく、元売決算との不均衡を感じる。
 昨今の帰結的な「廉売」は度が過ぎていないか。「法的にはセーフ」と強弁する以前に、安定供給にとどまらない多面的な社会的使命を遂行しているSS網への破壊的行為を早急に律するべきだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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