日刊ニュース

2016.02.25 のニュース

自由自在な彼と束縛された我

 総合エネルギー調査会でも現状からの変更を示唆された国内のガソリン卸価格決定の仕組み。国内民間調査会社が発信する価格リンクではなく、アジア指標とされるMOPS連動であったなら、2015年の精製元売の利幅は大きく上乗せできた可能性がある。海上指標でも3円弱、とかく問題点が指摘される陸上指標比なら4円もの利幅拡大が垣間見えるのだ。15年のガソリン卸市況は、8月下旬からの1ヵ月間を除いて、ほぼ「アジア高・国内安」が定着している。この相場を活用して日本からの製品輸出が拡大、前年比30%増の356万㌔㍑がアジア市場へ仕向けられた。
 長きにわたって「アジア安・国内高」が故に、ほぼ輸入超過が常態であったガソリンは、生産能力過剰という国内要因、需要沸騰に追いつかない生産能力というアジア市場の構図により、大きく様変わりしている。輸出能力を有する元売とそうでない元売間で大きく明暗が分かれる部分ではあるが、製油所稼働率を下支えし、国内に振り向けるよりも著しく高付加価値となったのが15年の製品輸出だ。
 元売にとって、儲かるアジア市場に対して、国内市場は不振という構図かというと、その表現は間違っている。大儲けのアジアに対して、数量減少を織り込んでも、国内でもそこそこ、という表現が正しい。原油安に拍車がかかった年末に向かって急降下した形跡はあっても、ことガソリンに関しては、儲からないほうがおかしい、というのが15年の元売の経営環境であった。
 東京先物リンクもMOPSリンクも拒み、海上高・陸上安という歪な民間卸指標を受け入れざるを得ないグループと、製品需給による高低を反映しない原油リンクで調整含みの人為的な感覚値を系列卸として提示するグループの違いはあっても、系列SS事業者の購買パワーが元売のサラリーマンパワーに屈した構図が15年の概況だ。これにより、ガソリン収益の良化部分の大勢が元売に帰属する結果となった。
 本来、需給の緩みで被災するのはメーカーであり、むしろ大勢の卸・小売業者は受益者となる。正常な市場とはこうしたものであるが、そうはならなかった。仕入れソースを自由自在に操る事業者がすぐ隣に襲来しかねない環境下で、SS経営者はメーカーにただ忠実な受動型のままで活路が開けるのだろうか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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