日刊ニュース

2016.03.03 のニュース

メジャー指標への期待と不安

 卸価格指標の透明化を求める声は根強い。特に中小SSにとっては切実な問題になってきている。その背景には事後調整がまん延する中、元売2強時代に突入しようとしていることがある。2強時代になれば、卸市況に対する元売の影響力が強まることが予想される。「現在の建値制のまま個別ごとの事後調整が続くと、ますます元売に近い有力特約店ばかりが有利になる」との危機感で、小規模な販売店になるほどこれは強い。
 2月16日から再開した総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会での大きな論点の1つとして、透明性の高い指標価格の確立や公正・適正な卸価格体系の構築が上がっている。重要で極めて時節を得たテーマである一方で、より多くの声が反映されることが期待される。16日の会合では元売側から「需給を適切に反映した価格指標が存在することは必要不可欠。現在、価格報告機関が提供する価格情報がIOSCO(証券監督者国際機構)の基準にきちんと則っているのか」との問題提起が早くもされた。
そうした中で最近、国内でにわかに注目を集めているのが、世界的な価格指標会社プラッツ社の存在である。同社は現在、スタンダード&プアーズやJDパワーを有する米国系マグロウヒルファイナンシャル社の1部門だが、アジア原油市場では同社の提供するドバイ原油が価格指標として機能し、可視性の高いプラッツウインドウの仕組みも国際的に有名だ。日本の価格指標会社と比べると、国際的な影響力を持つ“価格指標のメジャー”である。同社は日本上陸を視野に入れ、すでに元売、商社などと接触し、国内市場の調査を重ねていると聞く。
 信頼性の高い卸価格指標の重要性に異論を挟む販売業者はいないだろうし、国内に価格指標を提供する企業が複数登場すれば質が高まることは期待できる。ただ、中小販売業者の中には不安も広がりつつある。「プラッツ社の価格情報を入手するには多額の費用がかかる。可視性の高い指標が出されても我々には検証する機会がない。透明だがわかりにくい指標が作られるのではないか」が代表的な声だ。中には現在の現物取引に厚みのない国内市場では「定量的なしっかした指標をつくるのは構造的に難しい」との指摘もある。
 2008年に元売が導入した市場連動型仕切りは透明性、予見性、検証性に富んでいた。中小石油販売業者はそうした指標の再来を望んでいる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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