日刊ニュース

2016.03.17 のニュース

窮状が映るSSの経営実態

 石油協会「石油製品販売業経営実態調査報告書」は、石油販売・SS業者の経営像を40年にわたって分析している唯一の統計で、2014年度決算期(14年4月~15年3月)の経営状況を反映した最新の15年度版も約2500社から回答を得た。内訳は、中小企業=98%、運営SS1ヵ所=72%、2~3ヵ所=19%。この傾向は近年もほぼ変化なく、中小業者の実情を物語る。
 近年、運営形態に変化もみえる。「元売系特約店」は28・1%、「元売系販売店」は51・9%と5年前比で若干減少傾向がうかがえる一方、「PB」が6・8%に上昇。06年度からの集計以来一貫して増加しており、14年度は「商社系特約店」の6・0%、「商社系販売店」の4・1%を上回る“第3勢力”となった。
 レギュラーガソリンの平均粗利は3年連続「10円割れ」の9・7円。エネ庁の小売価格調査・卸価格調査をもとにした平均粗利11・3円より厳しい数字が出ている。今後のSS経営方針については、「継続する」が7割強を占めたが、「廃業を考えている」も1割を超え、うち5年以内に廃業予定が30%強と、SSの減少には歯止めがかかりそうもない。廃業理由としては、燃料油販売量の減少、粗利益減少、施設の老朽化、後継者不在などが上位に挙げられた。これを裏返せば、社会構造的な石油内需減は別としても、粗利益が「増加」すれば、老朽施設の「改善投資」ができるし、良い商売となれば「後継」する魅力も高まる。
 PBを除いた企業のレギュラー系列外仕入れ比率は38%。また、現時点では系列外購入を行っていなくても、「系列外仕入れが可能となった場合」に、系列外から購入する意向が31%に上っている。ガソリンはSS油種の6割超を占める主力商品。もちろん、系列から買うのに越したことはないが、次なる策を講じざるを得ない事情が垣間見える。中小SSが理不尽と訴え続けているのは、特に「自店の系列仕入れより、同系列SSの小売価格のほうが安い」状況がまかり通っていることだ。
 ブランドには付加価値がある。だが、現状はその価値が霞み過ぎるほどの系列業転格差が生じ、事後的調整で対処している。エネ庁ヒアリングによれば、多くの元売も公正・透明な価格指標を求めているという。SSはエネルギー供給“最後の砦”。至急、この覚悟で頑張り続ける中小業者の声に応えてほしい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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