日刊ニュース

2016.05.09 のニュース

自家発電SSが活躍中

 東日本大震災を契機に全国に整備された中核SSと小口配送拠点。今回の熊本地震では、大きな余震が続く中で、これらのSSや配送拠点が緊急車両や避難所、病院などの緊急施設に燃料を届けている。中核SSではないもののあらかじめ自家発電機を用意していたSSも、地下タンクの燃料が尽きるまでフル稼働で供給を続けている。元売の「災害時石油連携計画」に基づき燃料補給も行われている。実質的に3・11以来、初めての本格的な災害時の燃料供給対応が、いま、まさに行われている。
 5年前の東日本大震災では巨大な地震と津波によって沿岸部を中心に深刻な被害が発生した。まだ小雪も降る3月、ストーブ用の灯油や食糧を調達するため自動車用燃料を求めてSSに長蛇の列ができた。しかし、停電のために計量機は動かず、SSマンは地下タンクのガソリンを手回しで汲み上げて給油した。時間もかかるし、SSマンの手はマメだらけになった。
 その時の経験から全石連は、停電しても迅速に燃料を供給するため自家発電機を備えたSSを増やすよう国の支援対策を要望した。そして制度化されたのが「石油製品流通網維持強化事業」であり、自家発電機を備えた中核SSや小口配送拠点の整備だった。現在、全国に中核が約1600ヵ所、小口が約500ヵ所ある。
 熊本地震では14日の震度7の激しい地震で広範囲で停電が発生したが、早期に停電は解消された。しかし、16日の深夜に起きた本震とされる震度6強の地震で阿蘇地域に送電している鉄塔が倒壊。巨大カルデラ地帯のなべ底にあたる南阿蘇村や阿蘇市などでは電力供給がストップし孤立状態になった。停電は今後も当分続くとみられている。
 そのため自家発電機を備えるこの地域の中核SSなどが重要な燃料供給拠点となっているのである。自宅も被害を受けたSS経営者やSSマンがスタンドに駆けつけ、給油に来る緊急車両や被災住民の車両への給油や、燃料切れの避難所などに昼夜を問わず燃料を配送している。
 まだ、停電は続いておりこの状態での供給が続く。元売各社は連携計画に基づいてこれらの稼働している自家発電のSSに燃料補給を行っているが、系列にこだわってこの連携が崩れたら被災地に燃料を届けることができなくなる。被災地への供給責任を果たすためには、系列を超えた精販連携が試されている。 

提供元:全国石油商業組合連合会
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