日刊ニュース

2016.08.10 のニュース

試買分析の実績活用を

2015年度の試買分析における不適合は319件だった。不適合事案は、計量機のホース部分からの着色など軽微なものから、火災につながりかねない重篤なものまで様々だが、エネ庁では、品確法に基づく立入検査を実施した中から、特に消費者利益を大きく損なう可能性が高かった3件の違反事例を公表し、注意喚起を促している。
 それによると、1件目は誤ってガソリンタンクに軽油を荷卸した事例。2件目はガソリンに灯油を故意に混入した事例で、追徴課税分を納付後、廃業に追い込まれている。3件目はローリー運転手が灯油とガソリンの注油口の接続を誤った事例で、発覚までに18件販売。品確法の強制規格に定められた引火点は灯油本来のそれを大きく下回っていたが、回収作業が功を奏し大事には至らなかった。
 この3件に象徴されるように、試買分析の不適合事案は現在、態様が大きく2つに分かれる。第1は脱税につながる事案で、ガソリンに灯油などが混入しガソリン税の脱税が疑われるケースと、軽油からクマリンが検出され軽油引取税の脱税が疑われるケースだ。第2は灯油にガソリンが混入し引火点が下がるケースで、一般の家庭で火災の発生につながることもあり得る。
 第3の事案としてかつては多発していたハイオクへのレギュラー混入は、詐欺的行為として業界内で大きく取り上げられて以降は激減している。
 軽油からのクマリンの検出数は、緩やかながらも減少傾向にあり、15年度は初めて検出件数が1桁台にとどまった。脱税事案そのものに対する監視の目が年々厳しさを増しつつあることも大きな要因だが、同時に、年間3万4千件超(15年度)の試買分析を実施しているという実績が、抑止力として機能していることは間違いない。
 一方、灯油の引火点が下がるケースについては毎年数十件発生しており、一気に減少する気配は見られない。荷卸時の初歩的なミスなど人的要因によるものが多く根本的な解決策が見出し難いからだが、毎年数十件発生している実態をエネ庁や地方経産局と共有することで、立入検査などに際しての具体的な指導につなげることができれば、成果は十分に期待できる。
 業界として長い年月をかけて積み上げてきた試買分析の実績を適正に活用すること。それがひいては、消費者利益の保護にも結びつくはずだ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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