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独自の道探る商社 PBのシェアは20%超に 2003年01月07日更新

昨年をふりかえってSSの“油外志向”、元売の“直売志向”とともに徐々に明確になってきたのはエネルギー商社の動向。
 これらは一連の“物理的な”動きであり、お互いに関連している。3分の1にマージン低下するという激烈な市場変化に対応して、それぞれの段階が独自の道を模索しはじめた。自己責任によって、これからの新しい時代に生き残っていくための方策を模索しはじめた結果だ。
 エネルギー商社は本来商社として石油製品の販売を担い、製品の供給、物流、ブランドは元売に依存するという基本戦略でやってきた。
 しかし大手エネルギー商社の中には、商社のネットワークを生かし、「業転」や「製品輸入」を手がけ、出来るだけ安価に製品を調達し、元売に比べ安いブランド料や業態化のノウハウを武器に元売系列とは別の独自の販売チャネルを構築していこうとする戦略も表面化してきた。
 エネルギー商社の燃料油の取扱い状況は系列SSでの販売が55%、残りは大口直需、商社間取引、ホームセンター卸など。商社系では系列SSでの販売よりむしろ大口直需など直接販売が上回っているケースが多い。取扱油種はガソリン30%、軽油22%、灯油21%、重油27%とほぼ均等しているのも特徴。
 こういう販売状況の中でエネルギー商社7社および全農のSS数は14年度末には8,282SSになる見込みである。13年度末では8,420SSだったから1年間で140SSの減少になるが、これは全農系の不採算SS廃止見込みによるもの。
 全農を除くエネルギー商社7社では、大手を中心に増加を続けており、13年度末4,184SS、14年度末(見込)4,340SSという風にむしろ増加している。
 これは元売系列下にある特約店が、採算性を考慮してエネルギー商社ブランドにクラ替えするケースが増えているため。元売のリテールに満足せず、元売ブランドは維持したままエネルギー商社の系列下に転籍するケースの増大が大きく作用している。
 元売系から商社系へ-というのがひとつの流れのようになり、潜在的に元売の方策に不満をもつSS、特約店のいくつかは14年度にはエネルギー商社系へとクラ替えしていった。ガソリンマージンが低下して以来、従来の元売の“しぼり”がかなり流動的になっている。SSもまた自己責任で独自に生きる道を探し始めたのだ。
 それを象徴するような出来事が昨年はあった。昨夏、外資系が先に「仕切価格」を提示、民族系が後で「仕切価格」を低めに設定したので系列SSが他の安いところから買ったため、外資系の販売量がいっきに激減してしまうという事態が起った。系列下のSSでも他の安い商社から玉を入れることが相次いだためだ。
 これにこりた外資系は今度は秋にはなかなか「仕切価格」を明示せず、それが原因となって市況が軟化するという事態になった。この事態は一見元売同志の攻防ではあるが、「系列SS」の中味が流動的になり、一部に液状化現象を起しはじめたことでもある。これまでの“仕組み”が大きく変わり始めている。
 そこにエネルギー商社としての“出番”があるとみられるが、商社自体が従来の燃料油商売というものに対する“意識”を変える必要に迫られている。
 伊藤忠エネクスは組織を変更して“カーライフ”と“ホームライフ”に分けた。これまでと“仕組み”が変わってきていることを捉え、いち早く“エンドユーザー”志向の体制に切り替え、その中で“車”や“ホーム”に関する全てを扱う戦略を打ち出しでいる。“カーライフ”関係では「車検専門店」FC展開、「オイル、タイヤ.整備プロショップ」のカーケア事業、「洗車」のボディケア事業、「車買取、販売」FC展開など多面的な方向を目指している。
 三菱商事石油もオートバックスと提携してセルフSSを展開、丸紅エネルギーもジャスコやダイエーなど流通大手の駐車場を利用したSS展開に力を入れている。
 こういった動きはSSのPB化にも現われている。PB化が進むエネルギー商社7社のPBSSは14年末には870SSに達する見込み。今年度末にはPBのシェアは20%を上回るとみられている。エネルギー商社も次の時代へ向って独自の道をさまざまに歩み始めた。

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