日刊ニュース

2010.08.10 のニュース

税制改正要望ヒアリング ―2回目で関心は薄れ気味-

経度省は来年度の税制改正ヒアリングを3~6日にかけ、省内地下の講堂で開催した。各産業界の団体から要望を聴くもので、国会議員も出席した。昨年の民主党政権発足を機に政府主導の名目で公開実施したもので今回は2回目となる。今までは官僚主導で実施していたものを、政治(政権与党)が主導権を持って行なうことを表明したもので注目を集めた。
 しかし、昨年は民主党の政策決定のプロセスが不透明であったのと税制改正の要望を受ける窓口が幹事長室となったことから産業団体も対応に苦慮した。今回は小沢幹事長の辞任、参議院選挙での民主党の敗北で様相が変わり、政調会の設立など審議の場も設けられ、仕組みも変わってきた。
 一方で、昨年の予算編成、税制改正は褒で財務省が主導したのではとの見方も出ていた。民主党政府の事業仕分けも財務省のシナリオで実施されたことになり、財務省の復活が取沙汰されている。予算の無駄を省くにしても、その材料、資料を持つのは財務省であり、それを政府が活用したことになる。予算の無駄使いも指摘されたが時間的な余裕もなく大幅な削減には至らなかった。今年度の経産省の関係予算も自民党が作成した案を大きく変えることは難しく、ほぼそのまま採用したかたちとなった。
 その意味では、来年度の税制改正、予算編成は民主党政権が初めて作成するものとなる。昨年は、年末に当時の小沢幹事長が暫定税率の廃止をやめ継続を決めるなど、マニフェストを変更するという混乱も生じた。暫定税率の廃止で石油業界もガソリンの増販を期待したが空振りに終わった経緯もある。
 今回のヒアリングは、国会の開催中であったため午前7時30分から9時までの早朝の開催となったもので、国会議員の出席も少なく昨年に比べると低調となっている。要望で意見を述べるのも、持ち時間が5分であるため、説明するのが精一杯で、質問も時間切れとなり、なかば儀式化してきている。
 昨年は政権交代で初めてということもあり、手探り状況にあったため関心を集めたが、今年は2年目で民主党の政策もマニフェストである程度分かってきたこともあり、税制改正で大きく対立することはない。
 税制改正の最終決定は政府・税政調査会となっており、党の政調会で
も検討する場が設定されたため、今回の税制改正ヒアリングは政務3役が意見を聴くことになったが、同じ要望を経産省の事務局にも提出しており、財務省との折衝に臨むことになる。結局、政治ベースとしては政務3役、及び民主党に要望するが、同時に経産省を通じても財務省と折衝を行なうことになる。
 ヒアリングで政府と産業界が賛成しているのが法人税の引き下げであり、対立するのは温暖化対策税の創設である。温暖化対策税はすでに昨年末の政府・税調で導入の方針を決めており、参議院で審議ができず廃案になったが温暖化対策基本法にも織り込まれている。
 参議院で与党が過半数割れとなったため法案の扱いが難しくなっている。この温暖化対策法と税金の扱いがどう決まるのかが、今後の最大の焦点となる。

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