2010.08.16 のニュース
論説 実態解明と改善指摘に期待
国内の石油製品の安定供給体制は保たれているのか。流通市場において公正な競争は行われているのか。国内の石油製品のほぼすべてを振り出している卸元として、そのためにどのような対策を講じているのか。工ネ庁はこうした実態を把握するため、今年も元売ヒアリングを行う。今月下旬から各社ごとに聞く方針で、9月中にはヒアリング結果を公表する予定だ。
石油販売業界としては、各地で疑問の声が渦巻いている新たな仕切価格決定方式について実態を把握し、行政の目で問題点を掘り起こしてほしいし、依然、一部の量販廉売業者に流通している超安値の業転玉との関係も解明してほしい。全国の販売業者がそのヒアリング結果を注目している。
08年秋以降、元売がそれぞれ新たな週決めの仕切り決定方式を導入し、市場の実態に連動した指標価格の設定をはじめ物流コストなどの考え方も示した。こうした取り組みにより業転と系列仕切りの不透明な格差は縮小すると期待され、実際にそうした改善の方向にあった。
しかし、ここにきて元売各社があらためて示した新・新仕切り改定方式は、一昔前の後決めであったり、指標価格に大幅なブランド料などを上乗せする方式に変更したことで、再び業転と系列仕切りの格差が拡大している。やっと「公平・公正な競争市場を」と期待したSS業界に、なんともいえない先行きへの不安が広がっている。
この元売ヒアリングを前に先週、全石連関東支部管内の理事長7人がエネ庁に対して「安値玉の実態解明」を要請した。市場混乱の要因となっている廉売業者への流通ルートの把握と改善を期待したものだ。ホームセンターなどの量販廉売業者が、中小SSの仕入価格を下回るような小売価格で販売しており、間に商社などが介在するにしても、透明になったはずの新仕切りフォーミュラでは説明のつかない例外的な安値が存在するのではないか。その実態を明らかにしてほしいとの思いである。
ヒアリングでは、販売子会社や直営SSに対する優遇の有無、不当廉売や不当表示などについての対応方針なども聴取する予定だ。
視界を遮るマーケットの矛盾やその裏仕掛けについて、中立である行政による目を通して問題点を洗い出し、公正な競争環境の整備に向けた指摘が行われることを期待する。