日刊ニュース

2012.06.20 のニュース

元売、販売業者と共に業績悪化 ―原油安と市況下落、減販が重なるー

 原油価格は、WTIが84~85ドル/バーレル、ブレントが96~97ドル、ドバイが95~96ドルで推移している。原油価格は2月~3月が値上がりし、ドバイは120ドル台となったが、4月以降は下落に転じ、これまでに約25ドルの値下がりとなった。末端市況も下落しているため元売、販売業者の業績は、共に悪化しており、厳しい状況が続くことになる。
 現在、ブレント、中東産が100ドルを割っているが、産油国は財政面から100ドル超えを見込んでいただけに厳しい状況となっている。14日のOPEC総会では、生産枠3000万バーレル/日の据え置きを決定し、需給バランスの安定を目論んでいる。さらにはギリシャの再選挙で財政緊縮派が勝つなど金融安定化への動きもあるが、先行きは不透明である。
 これまでの原油価格の下落で、元売各社の4月~6月の決算は、在庫評価損が発生するため赤字となることが懸念される。原油価格の下落に対処する方策はなく、在庫評価損を回避することはできない。原油価格の下落は、コスト安となるが、市況は原油安を先取りしてコスト減少分以上の値下げするため業績は悪化する。だが、市況下落を遅らせて維持すれば、マージンが確保されるため、在庫評価損を除いた数字では黒字決算は可能である。
 平成23年度の元売の決算は、原油価格の大幅な値上がりや在庫評価益の発生、市況が堅調に推移したためユーザー転嫁も浸透、マージンを確保したことから増益となった。東日本大震災の影響で電力用C重油を除いては、各油種は減販となり、業績悪化が懸念されたが、本業の石油製品部門以外の石油開発が原油価格の上昇で増益、石油化学も回復したことで連結決算では増益となった。
 だが、今年度の4月~6月は、原油の急落で在庫評価損が発生することと、開発部門が原油安により減益となり、元売の連結決算は悪化する。平成23年度とは、全くの様変わりとなっている。原油は下落しているが、市況を維持し、石油製品マージンの確保を狙いたいところである。
 しかし、原油価格が下落すると、直ちに先物、業報市況は下落するため、元売の石油製品マージンは減少するのが実態で、市況下落を阻止することは難しい。
 一方、仕切価格の値下がりで、ガソリン販売価格も値下がりとなっている。ガソリン価格の値下がりによってユーザーが安値感を持つことで、需要回復へと向かうことが期待されている。今年4月初めにはガソリン価格が158円/L(みずほ総合研究所の調査価格)となり、160円超えが見込まれた。160円台が続くと暫定税率分(25円)の引き
下げも実施となるかと議論となったが、その後は下落した。
 150円を超えた際、高値感から販売減が予想されたが、予想通り販売が伸び悩んだ。その後、値下がりとなったが、需要回復に至らず6月現在では、入梅で販売減が続いてい
る。エコカー減税で新車の販売は増加したが、小型車、省燃費車が対象となり、ガソリンの需要増には結びついていない。市況は仕切価格の値下がりを先取りして値下げすることで、販売業者のマージンが減少している。このように原油価格の下落によって、元売、販売業者は共に業績が悪化している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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