2010.08.24 のニュース
ガソリンマージン安定確保も -需給次第で予断を許さず-
元売の業績は回復してきたが、これは石油製品の市況が改善され、マージンが増加したためであり、本業の石油事業で黒字となってきたことになる。石油製品のマージンとしては原油CIF価格と仕切価格(業転市況)とのスプレッドは10円/L以上を確保したいところであるが、ガソリン、中間留分では達成できている。精製費、輸送費、一般管理費などが8円程度、適正利益を加算すると油種平均では10円程度のマージンが必要となる。
その他のC重油・アスファルトは、原油価格に比べると安価となるためコスト割れで持ち出しとなる。コスト割れとなるC重油を生産しない製油所を目指し、重質油分解装置を導入しているが、原油価格の重・軽格差が縮小したためメリットが無くなり採算割れの状況で苦戦している。巨額な設備投資の原価償却分の回収ができず赤字となり裏目となっている。アスファルトは採算割れから生産を中止している製油所もある。
現状ではガソリンのマージンが11~12円あり、適正なマージンを確保している。灯油、軽油の中間留分は10円程度であり、まずまずの水準である。さらに、仕切価格が見直しとなり、新々体系に移行してブランド料が1~2円加算されたため元売のマージンは増加している。
このブランド料の引き上げに対して販売業者は、①仕切価格と実勢の業転市況との間に価格差が生じ仕切価格は割高となった、②元売のみがマージン増となりユーザーに転嫁できず、販売業者は逆にマージンが減少して不利になった、など反発する意見が出ている。
元売は、現行の市況水準を維持できれば黒字が確保できる。だが、需給が緩和すると業転市況は2~3日で一気に4~5円は下落するため予断を許さない。石油製品市況も、ガソリンは夏場が需要期であるため堅調であるが、不需要期である灯油は値下がりしているためマージンは少ない。逆に冬場は、灯油が値上がりするが、ガソリンは下落するため、ガソリンのマージンは減少する。ガソリンの業転市況は冬場で急落して原油価格と同値となったケースもあるが、マージンが3~4円となり、精製費も出ない逆ザヤの赤字も経験している。とくに冬場のガソリン安を注意することが必要である。現在、夏場でガソリンのマージンが確保されているが、需給次第でガソリン安となるため油断は禁物である。
最近は海外の製品市況に連動するため、冬場の業転市況は「ガソリン安の灯油高」となる。ガソリンは12月~1月の販売は夏場の8月に次いで増販が見込める月であり、ここで市況が下落すると元売の業績は一気に悪化する。
仕切価格は業転市況に連動する方式を採用しているため需給が常にタイトな状況を保つことが前提であり、需要に見合った生産が求められる。今のところは減産と製品輸出増で国内需給はタイトで推移している。だが、元売間でも販売シェアを落とし、売り負けたと判断して増販策に方針を変え、業転市場に玉を放出する動きが出ると業転市況は急落する。
今夏は猛暑でガソリンは増販となり、加えて製品輸出が増加しているため、需給も安定し、安心であるが、9月になると減販となるため、早めの減産対応が必要となる。