日刊ニュース

2010.08.31 のニュース

触覚を行動につなげるSS経営

 パンク、バッテリー劣化・破損、燃料切れはいずれも増加・・・。JAFがまとめたお盆期間の出動状況である。一般道・高速道ともに全体出動件数が減った中、猛暑が影響したとの見方だ。今夏は高速の上限1000円適用日が減ったことなどから渋滞は緩和され、SAなどでのガソリン販売量は9%減、うちハイオクは15%も減少。一方、SS市場はガソリン・油外販売ともに好調ぶりが数多く伝えられた。
 翻って、いつも通りの想定されたトラブルで、7~15日までの9日間にJAFに限っても約8万件の出動が実行された。他の口ードサービス、SS、カーディーラー、整備工場、知人などへのヘルプ要請を併せれば、相当な数になろう。このうち、燃料切れはもちろんのこと、パンク、バッテリー上がり・破損などは日ごろ利用しているSSでチェックさえしておけば、かなりの部分を防げた可能性も高い。オープンボンネットを嫌うユーザーが増えた理由は様々だが、自分のクルマは壊れないという過信があることは否めない。精度や技術力の向上で壊れにくくなったのは事実だが、消耗品は文字通りに減り、劣化するもの。「カーディーラーでの車検・定期点検が万能ではなかった」と痛みを受けたドライバーが、いま、来店しているかも知れない。
 また、故障は季節を問わず、大なり小なり常に起きている。ボンネツトは開けられなくても、目視でできることは少なくない。ただ、収益を追い過ぎていきなり売ろうとすれば長い目で見れば逆効果。ユーザーが嫌う販売手法だ。SS側は決して押し売りとは考えていなくても、買う側がそう思えば、悪いイメージの挽回は至難になる。あえて指摘したのは、類似の事例がいまもって聞かれるからだ。
 あらゆるユーザーに歓迎されるSSづくりを勧めているわけではないことは言うまでもない。そんなSSはありえない。売るのが商売。円滑な会話のきっかけをつかみ、お客様本位で行動し、広い意味で良い店をつくり上げ、信頼を得る。当たり前の地道なやり方だが、1日1日の積み重ねで”明日”という日がやってくる。なにも変えずに立ち止まったままの「不動の姿勢」では通用しにくい時代。経営陣・現場スタッフが各々の領域で、人とクルマと社会に対する諸情報の触覚をフル稼働させ、残暑を元気に乗り切りたい。

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