日刊ニュース

2010.09.01 のニュース

来年度予算 項目、中味変えて継続実施 -SS地下タンク補助、市況調査など-

経産省の来年度の概算予算要求が決まった。石油・天然ガス関連は2167億円で今年度の2136億円に比べると31億円の増加となっている。政府の概算要求シーリングでは10%削減となっているが、石油対策関係予算は安定供給、石油資源の確保が重要であるとして増額となったため、他のエネルギー分野での予算は削減されている。
 新規項目は、①バイオ燃料の導入加速支援で9億円、②原油タンカーのシーレーン安全確保で2億円、③SSの地下タンク漏洩防止規制対応推進事業で22億円、④石油製品流通網維持強化費で2億円、⑤EVなどの次世代自動車の普及に備えたSSでの新しいピジネスモデルの構築で8億円、⑥石油製品の市況調査で3億円、⑦LPGへの燃料転換の設備に対してユーザーに支援で3億円、などが要求となっている。
 バイオ燃料の導入加速支援は、石油各社はすでにバイオガソリンの販売に取り組んでおり、政府と約束した原油換算で21万KLの供給は自主的な対応で実施している。来年度以降はエネルギー供給高度化法が施行され、その判断基準により導入目標を決めて新しく実施となる。そのため石油各社に対してインフラ(製造~出荷)整備を支援するもの。バイオ燃料の増量に関しては、石油連盟が安定供給、コスト増の負担に対して国の支援を要請していたもの。
 シーレーンの安全確保は、先に日本籍の原油タンカーが海賊に襲われており、安全航行を確保するための課題や調査を行なうことになる。
 販売業界に対しては、SS撤退時における地下タンクの撤去に際しての補助金、災害対応型SSへの補助事業、SSでの市況調査などが事業仕分けでは廃止が決まっていたが、予算要求の段階で項目と中味を変えて復活した。SSの地下タンクについては、ガソリンなどの漏洩防止で消防法が規制強化され、老朽化した40~50年経過の一重殻タンクには、FRP内面ライニング、電気防食を義務化しており、その費用を補助する。また、供給不安定地域における事業継続のためのタンクの入れ替えなどの環境対応を支援することになる。さらに、自治体と連携してSSの撤退で石油製品が供給不安となる地域における対策を検討するとともに、災害時のおいて供給を確保するための支援を行なうことになる。
 SSの市況調査は事業仕分けで廃止と決まったが、これも、新規項目で「公正・透明な競争環境の整備」という名目での要求となった。調査の目的は「独禁法の違反行為、便乗値上げを未然防止するため、卸・小売価格を全国規模でモニタリングして流通マージンを把握するとともに、必要に応じて地域を限定した調査を行なう」ことになる。現行の調査は、販売業者への情報提供が目的であったものを、国による便乗値上げをウォッチするための実態把握の調査と目的を変えることで継続される。
 その結果、現行の月次調査は廃止となるが、週動向調査は継続実施となる。だが、調査項目は見直し縮小され、予算額は現在の4億円から新規では3億円と減額になる。調査機関も入札で決めることになる。
 このようにSSの地下タンク助成、市況調査は名目と中味は変わるが、新規事業として実質的には継続実施となっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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