日刊ニュース

2010.09.09 のニュース

特別会計含め予算組み替えも -実際に可能なのか問題点も多い-

民主党の代表選は菅首相と小沢前幹事長との一騎打ちとなっているが、どちらが勝ってもラグビーのノーサイド(誠試合終了後は勝者、敗者はなし)とはいかないようである。代表選後は、挙党体制で協力するとしているが、党役員、内閣改造は必至とみられており、その間、空白状態が続くことになる。小沢氏が当選すると予算の組み替えも予想されるため各省庁では、その結果を注目している。
 両氏の間では、経済政策、予算編成で考え方が大きく違う。小沢氏は、①事業仕分け、概算要求の10%削減は官僚主導で実施されている、②特別会計の207兆円は全面組み換えを行なう、と訴え、菅体制を批判している。
 たしかに、政府の事業仕分けは財務省がシナリオを書き、これを民主党の仕分け人が演じたケースがうかがえる。学職経験者も登場しているが、削減できる予算を選別できるのは予算編成のプロでないと分からない分野である。実際は財務省が削減できる予算項目を指摘したことになる。政府仕分けの前に実施した各省内の仕分けでも財務省が裏で削減案を提示しているとのうわさも出ている。そのためか事業仕分けに対しての評価のスタート時に比べると落ちているが、今回、身内の小沢氏からも官僚主導を指摘されたため、10月の特殊法人の仕分けもトーンダウンしそうである。
 さらに、小沢氏が当選すると予算要求も変更となりかねない。概算要求の一律10%カットは財務省主導によるものと指摘している。たしかに自民党政権時代も同じ手法が講じられており、小沢氏の指摘も的を得ていることになる。また、特別会計の組み替えとなると大仕事となる。
 特別会計は、法律で税の歳入と歳出の目的が決まっており、独立した予算であるため、一般会計とは別の扱いとなっている。そのため今までは、予算の組み換えは検討の対象となっていなかった。この特別会計の予算が207兆円あることも、あまり一般には知られていなかった。今回、一般会計への組み替えを行なうことで無駄な予算を削減し、これに代わって必要な予算は拡大するとしているもの。マニフェストに掲げたものの、財減不足で執行が難しい事業の予算を特別会計から念出することになる。
 しかし、枠組みを変えることになると、各特別会計の法律を改正することになり、簡単ではない。そのため、実際に組み替えとなると時間的にみて難しく、平成24年度予算でないと無理との見方もある。23年度予算要求案は、すでに8月末に提示されており、これを組み替えるとなると時間と労力がかかり、年度内の予算編成が難しくなる。
 昨年は8月末に自民党政権が今年度予算案を提示したが、9月には民主党に政権交代したため予算を組み替えた。今回、小沢氏が代表選で当選すると2年連続での予算組み替えとなる。同じ政権下で予算を組み替えることは、めずらしいケースとなる。しかし、特別会計を含めて予算の組み替えを年内に法律改正で決めるのは難しいとみられている。いずれにしても代表選の公約が実施されるか否かは、現在問題になっている総選挙のマニフェストと同様、順守できるか否かが問われることになる。

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