2010.09.13 のニュース
中立な価格調査の継続
5月の政府・行政刷新会議の事業仕分けで、資源エネルギー庁が日本エネルギー経済研究所・石油情報センターに委託して行っている石油製品市況調査事業について、「来年度は廃止」という判定を下された。「消費者にとってもSSにとっても役に立っていない」という評価や、国としての価格監視の必要性も認められなかったためだ。中にはインターネットサイトで安値情報があるから・・・などの乱暴な指摘などもあり、最初から廃止するための仕分けヒアリングだったようにも見えた。
本紙はその直後、この石油製品市況調査の廃止について各地のSS事業者の声を拾った。「毎週発表される数字が、販売価格の基準になっている。なくなれば困る」「市町村などの官公庁でも契約価格の目安にしている」「ほかに信用できる客観的なデータがなく消費者も困るのではないか」など、こんなに簡単に市況調査を切り捨てていいのかという困惑や批判の声がほとんどを占めた。
仕分け人からは「元売や事業者が活用しているというならば、受益者である彼らにコスト負担を求めたら」など発言もあったが、そもそも業界自らが価格調査を行うことは独禁法違反である。公正で中立な第三者機関による客観的な価格調査が行われることで、便乗値上げの防止や不当廉売などの独禁法違反行為を申告する際の客観的指標にもなっている。この仕分け結果は、公平で公正な競争の必要性を訴えてきたわが業界が頼りにするその客観データさえも、「必要ない」と否定した。
さらに石油情報センターの市況調査、特に週次の価格調査は石油業界以外の産業界や企業の事業活動の目安にもなっている。産業活動の血でもある石油製品の価格は、企業の直近の輸送コストなどを算定するための参考にされ、事業の成否にもつながる。市況データの長期的なトレンドは、輸送手段そのものを選択する際の参考になるなど、企業活動のベースを構築する素材データなのである。だからこそ、主要一般紙なども毎週必ず、この石油情報センターの発表データを掲載している。
現在、来年度の予算編成が行われている。その中で「廃止」とされたこの市況調査の存廃が議論されている。わが業界は、いままさに、この公正で中立な価格指標の必要性をわかりやすく地元選出議員に訴え、理解を得なければならない。