日刊ニュース

2010.09.27 のニュース

大畠新経産大臣に期待 -環境税、排出量取引などで手腕を-

菅改造内閣が17日に発足、大畠・新経産大臣が就任した。21日には副大臣、政務官の政務3役が決まり新体制がスタートした。民主党の代表選による政治空白で、円高対策の遅れ、見えていた景気回復の兆しが再び後退することを心配する向きもある。内閣改造で各省庁でも政務3役が代わることになり、今までの政策の引継ぎ、対策の推進策の説明もあり、政策推進となると大幅に遅れる。
 今後の日程は、10月初めに国会が開催されるが、まず、景気対策を優先して捕正予算を審議する。これが成立するか否かも問題となるが、ついで来年度予算、同じく来年度の税制改正が審議となる。さらに10月中旬には、特別会計の事業仕分けを行なうことになっている。来年度予算は年末までという時間的制約もあって厳しい日程となっている。
 石油業界、産業界の課題としては、環境税の創設、温暖化対策基本法の扱い、排出量取引の制度設計などの点があげられている。政治空白が続いている間に経産省は審議会を開き、検討を行なっており、中間とりまとめの段階となっている。基本となる温暖化対策基本法が廃案となっているため、この法律が国会で成立するか否かが焦点となる。菅首相が就任したのを機に、温暖化対策は後退した感じであり、関心は薄れてきている。しかし、鳩山前首相が世界に公約したCO2の25%削減は推進することになるが、現状の政治、経済情勢からみると難しい状況にある。
 それでも、税制改正の立場からは環境税の創設が、先行して議論となってくる。経産省は先手を打って石油石炭税の増税を打ち出している。一方、環境省は、農水省、国交省をも抱き込んで環境税の名を借りた増税構想を打ち出している。この論争は自民党時代からあった問題であるが再燃してきた。環境対策という名目では、すでに技術開発費では1兆円を計上しており、省エネルギー対策の補助にも予算を充当している。
 そのため社会福祉、農業、林業などの補助事業に使い道を拡大することになると予算規模は無限に拡大する。外国でも環境税という名目での税制はなく、環境対策の予算は少ない。それでも年末の税制調査会で創設が決まりそうであるが、これからの石油業界、産業界の反対運動にかかってくる。しかし、産業界を支援 する経産省が増税の方針を決めているため環境税の阻止は難しい状況にある。あとは野党の自民党の出方となるが、野党が参議院で過半数を占めるねじれ国会であるため見通しは難しくなっている。
 排出量取引の制度設計が審議されており、経産省としても方針をまとめているが、環境省との調整は難しくなっている。自民党時代は経産省、環境省の事務局ベースで話し合ったが、今は政治主導であり、大臣、政務3役との調整となるため時間もかかる。最終的には閣議決定、官邸主導となるため、誰が、どこで決めるかが不透明となる。
 いずれにしても、新しい菅内閣がスタートしており、経産省の大畠大臣が経済政策の旗振りをすることになったが、景気対策、デフレ不況からの脱出に取り組むことを重点策としており、環境税などに対して今後の手腕に期待したいところである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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