日刊ニュース

2013.07.11 のニュース

予想以上の仕切値上げ幅-業者、元売の新しい対応に警戒-

 ガソリン仕切価格は6日から3円/リットルの値上げとなったが、販売業者は、各社の値上げ幅の足並みが揃ったこと、予想以上の値上げ幅に対し戸惑いをみせている。同時に元売の新しい対応を警戒している。
 従来の仕切価格の改定方式に基づく予測では、6日からの仕切価格は値上げが予想されたが1円以下と見られていた。指標となる業転(陸上)の前週の値上がりからみると、3円の値上げは予測を上回っている。そのため今回の3円値上げについては、①これまでの下げ過ぎ分を加算して値上げしたのではないか、②エジプトの情勢不安で原油が急騰したことに加え、為替が100円/ドルと円安となり、直近のコスト急増分を即値上げとした、③東京商品取引所のガソリン先物が3円程度値上がりした、④原油価格は今後も値上がりが予想されるとの思惑を絡めて値上げしたなど想定される。
 さらに各社の値上げ幅が3円で同額となったことも従来にない方針であるため、元売の結束を警戒している。6月に入って仕切価格の改定は、上げ、下げは小幅であったが各社が同額となっている。これまでは独占禁止法への配慮もあってか、多少の価格差をつけていたが、ここにきて3円値上げで足並みが揃ったことで、今後も同様な動きをするのであれば、販売業者も新しい対応が求められる。
 仕切価格の改定は、業転の変動を基準に原油、為替の動き、他社の動向など総合的な判断が加味されて行なわれている。だが、今回の3円値上げに対しては、直前の業転の値上げがないまま、仕切り値上げとなった。元売サイドは、仕切価格改定の発表日(金曜日)、改定日(土曜日)の直前の原油価格、為替の変動を反映させることでコストの変動を明確にしたことになる。これまでは一週間の業転の平均を指標としていたが、その間にも変動するため、改定(値上げ)のタイミングを失うケースも多いため、今回のように直近のコスト変動を反映させたものとみられている。
 これまでのように業転に連動した仕切価格の値上げでは、業転市況の値上がりを後追いすることになる。EMGは前日(木)に3円値上げを通告しており、これに各社が3円値上げに追随したことになる。仕切価格の値上げと業転に連動する方式となると、業転市況の値上がりを待って仕切価格を値上げすることになるが、業転の値上げが遅れ仕切価格の値上げが空振りとなるケースも多い。そのためには、需給をタイトにすることが前提となる。販売業界からも業転と系列仕切価格との価格差を圧縮すべきとの要請が出ており、この価格差の是正が元売の命題となっており、価格体系も見直しの時期にきている。
 現在、設備処理問題に取り組んでいる最中であり、トッパーは明年3月末で廃棄されるが、廃棄が終了してもガソリンの需給がタイトになる確証はない。トッパーが廃棄されても、ガソリンを製造する二次装置は残っており、これによる増産は可能であり、供給増は今後も続くとの見通しもある。
 供給余力が残るため需要(販売)に見合った生産で対応することが徹底されないと供給増となり、業転安を解消することはできない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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