2010.09.30 のニュース
ブランドが提供する価値を問う
石油連盟がこのほど公表した今年度のSS利用状況等アンケート調査で、「いつも利用するSSを決めている」は約4割、「ほぼ決めている」は約5割。この傾向は毎年ほぼ変わらない。当該SSを選んでいる理由は「価格が安い」40%、「家や勤務先の近所35%で、05年度以降は価格重視に傾いているが、原油高がピークに達した08年度に比べると、その差は再び縮小気味だ。
一方、ブランド最重要視派は7%。石連は「CMなどによる一過性のブランドイメージでなく、長年にわたって築かれた“信頼”が重要視されている」と分析する。
その信頼関係は、元売ブランドと当該SSで築いてきたということになろう。「低価格」や「近所の利便性」よりブランドを最上位に挙げた利用客の信頼を、これからも得続けていくことが大事だ。ところが、残念なことに最近、いわゆる「ブランド」料が相対的に系列外・PB業者の価格競争力を高め、あるいは系列SSのマージン圧縮を助長しているとの指摘が増えてきた。
需要減の中、量販店間の価格競争はますます熾烈化し、油外商品を売るための顧客の囲い込みが一層激化すると予想される。ブランドから得られる集客効果より、対価として負担するブランド料が足かせになるとのシグナルを、最前線が発信し始めている。これは、由々しき事態だ。利用者はブランドを軽視し、系列SSにはブランドが重荷になる。元売の本意ではないはずだ。品質保証という側面にのみブランドを冠した価値を見出す感覚は、世の中に通用しにくい。
他方、同調査では発売合併によってSSがどうなるかを聞いているが、「一層セルフが増える」の34%、「一層各社が競い合って、サービスが良くなる」の30%に続いて、「一層SSが減って、不便になる」も22%にのぼった。入るSSをほぼ決めている9割の利用客は、当該SSが閉鎖したら別のSSを選ぶ必要性が生じる。これだけSSが減ったのだから、そんな体験をしたドライバーは少なからずいるはずだ。1回では済まないかもしねない。このところ、SS過疎地の出現が目立ち始めたが、大都市部でも灯油配達業者の減少などによる供給不安地域が増えてきたり、SS空白エリアの拡大がユーザーからも指摘されている。
SSが減れば、最重視したいブランド探しも次第に困難になる。