2013.08.26 のニュース
「地域で守るべきSS」
「社会の血液のような油を扱うSSは本当の意味での『社会的インフラ』であり、地域で守っていくべきもの。水と同じで、なくならないとその大切さには気が付かないのかもしれない」 本紙8月9日付8面で紹介した北海道上ノ国町の工藤昇町長の言葉である。
東日本大震災を教訓に現在、全国各地で多くの自治体や地方公共団体が地元の石油組合との間で災害時供給協定を結んでいる。上ノ国町も今年6月上旬、函館地方石協との間で協定を結んだ。
協定書では官公需要の発注にあたり、地元の中小石油販売業者の受注機会確保を担保する条文と、災害時において町への優先供給を約束する組合員と、そうではない非組合員を明確化するために、同町に対し組合員名簿を定期的に提出する取り決めも結んでいる。
さらに同町は、その後開かれた定例町議会で、町内で1年以上事業を継続し従業員6人以上を雇用している製造業者・小売業者を対象に、設備投資経費の半額を補助する制度を導入した。同町内に3社あるSS事業者のタンク入替えや改装、灯油宅配用タンクローリーの購入なども補助の対象になるという。
工藤町長は「協定を結んだが、SSが3ヵ所あるのと1ヵ所に減るのとでは災害時に扱える油の絶対量が違う。我々は行政として地域のSSを守っていく責任がある」「補助制度はSSを対象にすることを決めてから理論構築したようなもの」とも話す。
SS過疎化への懸念が全国的に高まる中、必要な燃料をどのように確保するのか、SSや自治体はどのような方法でタッグを組めばいいのか。この上ノ国町の取り組みや工藤町長の考え方は大きなヒントを与えてくれているように思う。
大震災で油の重要性が再認識された。あれから2年半が経とうとしている。石油備蓄法の改正やそれに伴う中核SSの整備、さらには地元のSS事業者の経営維持に配慮した新しい形の災害時協定の締結など。そして、業転格差の解消に切り込んだ自民党の石油流通議員連盟の究極の目標自体が「公共インフラとしてのSSの維持・継続」である。
我々石油販売業界は、その認識を風化させないために行政や政治に様々な方法で訴えてきたし、その成果は着実に出ている。今後もSSの大切さを訴えていく努力を怠ってはならない。