2013.08.26 のニュース
産構審、エネ対策予算を後押し-再興戦略は産業競争力法で実行-
産業構造審議会総会は、21日に経済産業省内で開催され、平成26年度の経済産業政策の重点策を決めた。
予算要求を後押しするための重点策を決めるもので、傘下の各部会でも審議・報告をまとめて、重点策として提示、了承を得たものである。主な問題点として、中小企業の育成、女性の雇用促進・幹部への登用、フロンティア分野への集中投資などの意見が出された。
そのうちエネルギー政策の重点として、現在審議中の総合資源エネルギー調査会での審議を踏まえて、エネルギー基本計画を年内に策定し、中長期的な政策の軸、方向性を明確にするとしている。具体策としての生産段階では、①再生可能エネルギーの導入、②安全が確認された原発の活用、③高効率火力発電の導入、④低廉なLNGの確保や国内資源開発の推進をあげている。また、流通段階では、①電力システム改革の断行、②電気・ガス料金の厳正な審査、③強靭なエネルギー供給体制の構築など、消費段階では、①産業競争力強化と省エネルギーの推進、②効率的なエネルギーマネジメントシステム普及などをあげている。
石油政策については、今年度の政策を踏襲、強化することになる。原発の停止に伴ないLNG火力にシフトしたことで、燃料費の高騰が問題となっている。そのため安価なLNGの調達に取り組んでいる。シェールガスの輸入促進を図り、安倍首相の訪米など資源外交活動の展開で輸入解禁などの成果をあげている。民間企業による開発も進んでおり、出光興産、石油資源開発などがカナダでLNG、シェールガスの開発を推進する。国内の資源開発、メタンバイドレートの開発も継続する。
強靭なエネルギー供給体制の構築は、国土強靭化計画に基づく製油所、油槽所の補強策、SSについては災害に強い中核SSづくり、災害対応型SSへの支援などで予算措置を講じる。また、民間タンクを活用した石油製品の国家備蓄の推進なども継続して実施となる。
全体の経済産業政策では、①産業競争力強化に向けて、高いエネルギーコスト、法人税や国内の規制、関税などの国境措置の対応に引き続き取り組む、②企業の投資を持続するために、「第三の矢」である「日本再興戦略」(産業競争力強化法)の実行のための予算を重点に配分する、③エネルギーコストの高まり、消費税率引き上げの動向を踏まえて中小企業の安定化を図るとしている。
「日本再興戦略」は、産業競争力強化法を秋の国会に提案する。「民間の設備投資を促進する」ことで産業の新陳代謝を促すもので、今後3年間で70兆円の拡大を図る。具体策は、①生産性向上を促す促進税制の実施、②リース手法を活用した先端設備の投資拡大、③省エネルギー補助金による最新設備の導入支援。
「産業再編」により過当競争を解消する。筋肉質な産業構造へ転換するもので、①スピンオフ・カーブアウトの促進、②企業ベンチャー投資の促進、③創業者の支援をあげている。「規制改革」を推進するため新たな仕組みを創設する。企業単位でチャレンジを促す企業実証特例制度(通称)の創設などにより「過小投資」、「過剰規制」、「過当競争」の3つの歪みを解消して産業の競争力をつけて「日本再興」を確実に実行する。