日刊ニュース

2010.10.05 のニュース

中小企業重視の政策実現を

政府は事業仕分けの第3弾を今月下旬から行う予定だ。マニフェストで約束した事業を行う財源を確保するため、既存事業で必要なもの、必要でないものを精査・仕分けし、財源を生み出そうというものである。
 確かに、無駄をなくすというその考え方は理解できるが、昨年の第1弾、今年春の第2弾を見ると、最初に結論ありきで、その「決まった結論」に導くための議論ではないかという印象を持った人も多い。仕分けの対象になっていたものの、時間切れのためになんの議論もなく「廃止」とされた事業もあった。
 業界にとっては昨年の第1弾での「地下タンク撤去等補助事業の廃止」という苦い思いがある。中小企業が大半のSS業界にとって、地下タンクの入れ換えや撤去に係る補助事業は、非常にありがたかったし、今後さらにその重要性が増すものと見られてきた。その事業がばっさりと廃止になった。
 事業仕分けがマニフェスト実現のための財源作りならば、「中小企業向けの減税実施」や「中小企業憲章の制定など中小企業を総合的に支援する」などの政策をマニフェストに掲げたのも、同じ与党・民主党である。
 「わが国の経済の基盤である中小企業の活性化を図るため、政府全体で中小企業対策に取り組む」と約束したはずだが、事業仕分けが脚光を浴びる一方で、我々にとって肝心の中小企業を助けるための取り組みがなかなか見えてこない。
 だからこそ業界は、政治の理解を得るために地元選出議員や経産省の政務三役、国会の経産委員会の委員になっている議員などを中心に業界実情を説明し、国としての中小企業支援策の必要性を訴えてきた。
 そうした取り組みが功を奏して、8月末、経産省が財務省に提出した、来年度予算概算要求に、次世代自動車の普及などに対応するための人材育成策支援など、石油製品販売業の経営基盤強化のための「SS次世代化対応支援事業」や、さらには燃料の供給不安地域や災害時などの緊急時に石油製品を安定供給するための「石油製品流通網維持強化事業」などが盛り込まれた。
 わが石油販売業界にとって必要不可欠な中小企業支援策である。これらの予算案が事業仕分け第3弾で押しつぶされることがないよう、引き続き中小企業支援の必要性を政治に訴えていかなければならない。

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