2013.10.22 のニュース
原発維持・推進が大勢意見 安倍政権の原発政策を後押し
総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の第7回会合が16日に開催され、原子が政策について審議したが、原発は「基幹エネルギーとして認め、一定量を維持すべきである」との原発を維持・推進する意見が大勢を占めた。安倍政権の発足を機に委員の入れ替えが行なわれたが、再任者を含め推進派で固めていることから、今回の意見は予想された。
原発政策については、安倍総理も国会答弁などで①原発はできる限り依存度を低減させる方向で検討する、②原発の再稼働は、原子力規制委により規制基準に適合と認めた場合は進めていく、③原発の新増設は、今後のエネルギーを巡る情勢などを踏まえて、ある程度の時間をかけて腰を据えて検討していく、④核燃料サイクルなどの最終処分は、次の世代に先送りすることがないよう国が全面に立ち、取組みを強化する、⑤原発輸出については、我が国の原子力の技術への期待が高く、相手国の事情を踏まえつつ技術を提供する、など方針を明らかにしている。ちなみに前回のエネルギー基本計画(2010年6月に閣議決定)では、「20年までに9基の原発の新増設を行なう」「30年までには14基の新増設を行なうとともに、設備利用は約90%を目指す」という計画であった。
しかし、この計画は、11年3月11日に発生した東日本大震災での福島原発の事故を機に、当時の民主党政権下で、ゼロペースで見直しを行なうことなったもので、12年9月に「革新的エネルギー・環境戦略」(閣議決定には至らず)に盛り込まれた。計画では、原発に依存をしない社会の実現に向けて、①40年運転制限を厳格に適用する、②原子力規制委の安全確認を得たものは再稼働を認める、③原発の新・増設は行なわない、との3原則を提示した。さらに「30年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、クリーンエネルギーを中心にあらゆる政策資源を投入する」との方針を内閣府の戦略会議で決めた。だが、総選挙で自民党政権に交代したため、民主党時代のエネルギー戦略は白紙となり、再度、ゼロベースで見直しすることになり、今回、総合エネ調のメンバーを入れ替えて審議入りとなったものである。
年末までにはとりまとめるが、エネルギーミックス(原発、石油、ガス、再生可能エネルギーなどの構成比)の数値は決めずに方向性と政策推進策を打ち出すことになっている。原発の再稼働が未定であるため、エネルギーごとの数字を算出することが困難となっているためである。
エネルギー政策については、今回の審議は、供給、流通、消費という切り口から審議しているが、原発の議論を除いたエネルギー政策(石油、ガス、再生可能エネルギーなど)は、前回までで審議が一巡しており、来年度に新政策、税制改正、予算要求として反映され、具体化される。政策問題として残っていた原発について審議となったが、ねじれ国会も解消していることから原発推進の方向が明確となってきた。
審議での主な意見としては「日本は戦略的にも一定の原発を維持すべきであり、安全管理のため技術の保持、専門の人材を育成すべきである」、「数値を示すことは難しいとしても緩やかな目標値(約25%など)をイメージして検討すべきである」などが述べられた。