2010.10.27 のニュース
上期元売、業者とも利益を確保 ―原油下落局面でも値取り浸透―
石油各社の上期(4~9月決算は、近く発表となるが、本業の石油事業ではマージンが確保されたため真水では黒字となる。上期の原油価格は値下がり局面となり石油製品市況も下落したが、販売数量は前年比では横ばいで推移、需給は安定して推移したため値取りができ、元販売売業者とも黒字となったようである。
過剰設備による供給増で業転市況が急落、市況が混乱する状況が心配されたが、各社の需要に見合った生産が徹底されてきたことが功を奏したことになる。
販売数量は、4月は寒さが続き灯油は前年比で35%の大幅増販、夏は猛暑でガソリン、電力C重油が増販となり、他の燃料油の減販をカバーしたため燃料油全体では横ばいとなった。4~8月の累計では1.1%の微増となっており、上期は販売減を見込んでいたが、予想を上回った。・各社の生鹿対応は、需要に見合ったものとなり、輸出の増加もあり、在庫も低水準で推移したため一霜給は安定して推移した。そのため原油価
格の値下がりで石油製品市況は下落したが、マージンを確保したことになる。さらに、元売は6~7月に仕切価格を見直し、①指標となる業転市況のタイムラグを短縮した、②現行にブランド料(販売費用)を約2円/L程度加算したことからマージン増となった。また、通告価格を事後から事前通知としたことから、元売は利益を確保したことになった。加えてJX日鉱日石エネルギーが7月からスタート、35%のシェアを持つ元売が登場したことは、価格競争が沈静化する要因となったようである。
原油価格の下落に伴い末端市況は値下がりしたが、仕切価格の値下がり分を大幅に下回ることはなく、販売業者もマージンを確保したようである。安値地区はマージン減となっているが、大勢はコストを回収して黒字となっている。
上期の原油価格(WTI)は4月が85ドル/バーレルであったものが9月には75ドルヘ下落しており、在庫評価損が発生するため、決算の数字は縮小される。一方、石油開発事業は原油価格が80ドル前後の高値で推移したため利益は確保されており、石油化学も黒字となっている。石油開発の損益分岐点は約40ドルとの見方もあり、利益は確保されるが、為替が円高で推移したため、ドルベースの原油価格に比べると利益は縮小する。
ちなみに上期の原油価格をCIFベースで見ると4月は79.87ドルで円/L換算では46円50銭であったが、5月が84.99ドルで49円73銭と値上がり、以後、6月が79.66ドルで45円73銭、7月が76.33ドルで42円77銭、8月が74.66ドルで40円57銭と値下がりが続き、9月は75.96ドルで40円05銭となり、5月に比べると約9円の値下がりとなった。CIFは通関ベースとなるためスポット価格に比べると約1ヵ月は遅れる。
末端のガソリン市況をみると、石油情報センターの月次調査では、4月が133円/L、5月が139円で6円の値上がりとなったが、その後は連続して値下がり、9月が133円となり、5月に比べると6円の値下げとなる。元売の仕切価格も5月からみると6~7円の値下がりとなっており、仕切価格の値下がり分と同じ値下がりであるため販売業者のマージンも確保されたことになる。