2010.11.10 のニュース
製品市況改善でマージン確保 ―元売、石油事業で黒字決算に―
2010年度上期の元売の決算は、本業の石油事業で石油製品のマージンが増加して増益となった。マージンは、原油価格と石油製品価格(仕切価格)との間に10円/L程度は必要とされているもので、精製費、自家燃料費、販売経費、利益などを見込んでいるもの。
仕切価格は、業転市況に運動した新体系に移行したため、供給増で業転市況が低迷するとマージンが縮小されるため元売の決算は赤字となる。前年の09年度上期は業転市況が安値でマージンが減少したため実質赤字となっており、これに比べると 大幅な増益となった。ちなみに最近の東工取の先物市況は原油価格が43円、ガソリンは53円で、その差は10円となっている。
増益の要因は石油製品市況が改善され石油製品(ガソリン、中間留分)のマージンが前年にくらべると5~6円/Lが増加したためであり、ようやく本業の石油製品事業で黒字となった。
今年の夏は猛暑でガソリンを中心に増販となり、需給がタイトで推移したため業転市況が堅調となったためマージンは確保された。10年度上期の原油価格は、平均で76ドル/バーレルで前年の60ドルに比べると16ドルの値上がりとなった。だが、上期通期でみると4月が85ドルであったが、5月から下落、9月には76ドルヘと値下がり局面となった。原油価格に連動して製品市況も値下がりしたが、コストが下がった割りには石油製品市況は値下がりせず、マージンは増加となったもの。また、期中に原油価格が値下がりしたため、在庫評価損が発生したが、前年は逆で在庫評価Uが発生している。
上期の決算をセグメント別でみるとJX日鉱日石エネルギーの石油製品事業(石油化学を含む)では、前年の09年度上期の決算上の経常利益が721億円となったが、期中で原油価格が値上がりしたため在庫評価益が1448億円発生した。この在庫評価益を相殺すると、真水(在庫影響を除く)では727億円の赤字となった。
これに対して10年度上期の経常利益は428億円となったが、原油価格の値下がりで352億円の評価損が発生、この評価損を相殺すると、真水では780億円の黒字となる。ほぼ同額の赤字から黒字に転換となるため、前年比では1507億円の増益となった。この増益のうち、マージンの増加が1297億円を占め、シナジー効果などが293億円が寄与したことになる。
コスモ石油の石油事業は、09年度上期が決算上の経常利益は63億円であったが、10年度上期は81億円で18億円の増である。だが、09年度上期は在庫評価の影響を除くと340億円の赤字となった。10年度上朗は、在庫評価を除くと207億円の黒字となり、前年比で547億円の増加となるが、うち、マージン増が約43億円を占めている。
出光興産は、石油製品事業の09年度の決算上の営業利益は93億円であり、10年度は310億円で218億円の増となっている。在庫影響除きでは09年度が329億円の赤字、10年度は401億円の黒字となり、相殺すると730億円の増益となる。増益の要因は足元の精製マージンを約10円は確保できたと見ていることである。