2010.11.10 のニュース
原油高騰で様変わり 再度、ユーザー転嫁も ―ガソリンは一部で下落傾向―
11月に入り原油価格(WTI)は高騰して86ドル/バーレル台で推移しているが、末端のガソリン市況は横ばいとなっている。原油価格は10月はWTIで82ドル(平均)となり、前月に比べ約6ドル値上がり、中東産は80ドルで5ドルの値上がりとなったため、ガソリンのユーザー転嫁に取り組んだ。だが、為替が10月平均で81円/ドルとなり3円の円高となったため、仕切価格は小幅な値上げに止まった。5月からの連続下落には歯止めをかけたが、ボトム130円台に乗せるのは空振りとなった。為替はその後も80~81円/ドルの円高で推移したため、やむを得ないところである。しかし、原油価格が再度高騰する状況となり、今後のガソリン市況対策が注目されてきた。末端市況はやや下落気味であるが、ここにきて原油価格の高騰で様子が変化 してきた。今後も原油価格が高騰することになれば、下旬からはガソリンのユーザー転嫁に取り組むことになりそうである。
原油価格(WTI)は80ドル台乗せから86ドルへと高騰してきた。87ドルから90ドルヘと接近することになれば、様相が大きく変化する。今までは70~80ドルの範囲内で安定して推移していたが、80~90ドルという新しい価格帯へ移行することになる。これから需要期に入るため、原油価格の値上がりも予想されるが、世界経済は回復せず、国内は景気回復が弱まり後退が見込まれており、この時期での原油価格の高騰は石油製品の販売減に繋がるとして心配されている。上期は猛暑でガソリンを中心に軽油など中間留分が増販となり、マージンも確保ができ、元売、販売業者とも利益をあげたが、ここで原油価格が高騰すると、ユーザー転嫁が難しくなり、厳しい状況となる。
下期は需要期であり、灯油を中心に増販が見込まれているだけに原油価格の高騰を警戒している。
原油価格の見通しは難しく、元売各社の下期の見通しは80ドルとしているが、この見通しを大幅に上回ることになる。原油価格の高騰に対して事前に対応することは難しいが、当面は市況を維持することに最善を尽くすべきである。ガソリン市況は横ばいで推移しているが、一部では下落傾向をみせているため、ここは我慢して市況を維持すべきである。