日刊ニュース

2010.11.12 のニュース

石油開発は原油上昇で好決算 ―17期も原油高で増益を期待―

2010年度上期の決算が発表されたが、石油開発企業、元売の石油開発事業は原油価格が値上がりしたため好決算となった。ドバイで76ドル/バーレルとなり、前年に比べて16ドル、ブレントで77ドルと前年に比べて25ドルの値上がりとなり、石油開発事業は原油価格の値上がりが即増益に結びつく。
 国際石油開発帝石は増収、増益となった。売上高は4329億円で前年比10%増、経常利益は2201億円であるが、法人税、住民税、事業税が1600億円と多額であるため、相殺すると利益は506億円となる。石油開発の海外プロジェクトのケースでは、産油国に対しての税金(利権料など)が高額であるため、これらを納税するため利益は減少する。ハイリスク・ハイリターンであるため、売上高に対しての軽常利益率は53%と高く、利益率は12%となる。
 石油資源開発は経常利益が49億円、利益は特別損失を計上したため19億円となった。通期では経常利益が104億円、利益は74億円を見込んでいる。国内では北海道(勇払)、秋田、新潟で展開しているが、海外はカナダ、イラクの開発が注目される。
 石油開発で赤字となったのはアラビア石油である。ノルウェー北海のギダ油田(10%の権益保有)で生産しており、200バーレル/日の権益原油を販売しているが、海外の開発プ口ジェクトが作業中であり生産に至っていないためである。再開発案件であるノルウェー北海のメイ油田(10%権益保有)は本年度の生産開始に向けて開発作業が進行中である。また、スエズ湾ノースウェスト・オクトーバー鉱区(50%保有)では開発作業を実施中で、生産、販売に至らず投資段階にあり、53億円の経常損失となった。この2プロジェクトが立ち上がれば黒字になる。
 なお、クウェートとの長期原油売買契約に基づき、3.8万バーレル/日の原油を販売しているが、売上高には計上されるもののマージンはゼロである。中国南シナ海で子会社の新華南石油開発が生産を行なったが、昨年2月に契約が切れたことも影響している。
 元売各社の石油開発事業をみると、JXの上期の経常利益は321億円で68億円の増加、通期では460億円を見込んでいる。ベトナム、マレーシアが中心となる。出光は、営業利益が137億円で72億円の増、通期では140億円で前回予想に比べると30億円の増を見込んでいる。最近では10月19日から英国領北海のバーリー油田で生産を開始した。出光の権益分は6000/日となっている。さらに、10月27日に英国領北海で4鉱区を取得するなど石油開発に積極的に取り組んでいる。
 コスモは192億円で64億円の増、通期では375億円と予想よりも15億円増を見込んでいる。関係会社のアブダビ石油、合同石油、カタール石油による生産の拡大がポイントとなる。
 下期については、原油価格の動向がポイントとなるが、下期の予想は80ドル程度としている。だが、足元はWTが87ドル、中東産が85ドル、ブレントが87ドルと高騰している。その反面、為替が80~81円/ドルと円高で推移しているが、この状況で原油価格が推移すれば、予想を上回る利益を確保できそうである。

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