日刊ニュース

2015.02.16 のニュース

「最後の砦」に相応しい収益を

日本のエネルギーの「最後の砦」(昨年4月11日閣議決定エネルギー基本計画)と位置付けられ、「平時を含めた全国供給網を維持するため、石油産業の経営基盤の強化に向けた取組などが必要である」(同)と明記されながら、その直後の国内石油産業の業績は、あまりにも痛ましい。主にSS部門を担う我々の側は、ダブル増税ショックの低迷から抜け出せないでいるうえ、精製元売側でも本日の東燃ゼネラルの発表で昨年12月末までの大手5元売の決算が出揃うが、原油価格の暴落を主因に、既発表の4社ともに過去最大級の出血業績が確定している。
原油暴落による石油精製販売部門の在庫評価損は、4-12月3社では出光697億円(通期見通し1370億円)、JXエネ2938億円(4320億円)、コスモ618億円(1100億円)。1-12月期でも昭和シェル505億円、東燃ゼネも865億円を計上または見込んでいる。ここに太陽と精製専業が加わるから、合計5千億円超、1兆円に迫る収益のマイナスを被る事態となった。石油購入資金やタンク建設などの一部支援を享受しているとはいえ、精製元売および製品輸入事業者は70日分の備蓄義務が義務付けられているから、この部分の経営責任は軽減される理由は十二分にある。2005年には総合エネ調が「国家備蓄を増強し民間備蓄義務を60~65日程度まで引き下げる」という答申も出している。
ただし、在庫評価要因を除いた正味の部分でも、当初経営目標に対して未達という結果なら、それは十分に経営責任につながる。中期経営計画などで目指されている数字よりも下回ったようなら、今後にV時回復を期すべきだろう。
国内石油業界の今後には、楽観視できる要因はごく少ない。内需の減退は当然予見できることだし、人手不足も顕在化する。したがって、合理化のしわ寄せを物流や小売などの下流に押し付けてはならない。さらなる合理化と低粗利を求めるようなら、子会社SSを含めた全系列SSのブラック化の懸念が必然的に高まる。灯油巡回販売不正のように、万が一、お客様と接する部分でブラック化が表面化すれば、過去から営々と築いた信頼と信用を失墜する。元売もSSも胸を張って「最後の砦」にふさわしい収益を上げようではないか。

提供元:全国石油商業組合連合会
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