日刊ニュース

2015.02.25 のニュース

巨額な在庫評価損厳しい業績 在庫影響は原油次第でありマージン確保を

 石油各社の4~12月、1~12月期決算が発表となったが、原油価格の急落の影響で巨額な在庫評価損が発生したため赤字計上となった。12月末の原油価格は50ドル/バーレルと、大幅な下落となったためである。昨年6月が110ドルであったが、9月の95ドル、10月が85ドル、11月が75ドルへと下落、さらに12月では50ドルへと下落した。
 12月時点の在庫(原油、石油製品)を50ドル台となり、時価で評価替すると在庫評価損が発生したためである。あくまでも会計処理上の処理であり、赤字となるが在庫影響を除くと黒字となっている。キャッシュフローは増加しており、配当は実施する予定である。
 木村石油連盟会長は「昨年秋以降、原油価格が急落したため巨額な在庫評価損が発生したため石油業界は厳しい環境にある。原油価格の下落は長い目でみれば石油需要の回復、コスト削減となるため好材料となるが、急落はサプライチェーンの維持などで支障が生じる。市況は安定することが好ましい。在庫を多く保有しているため原油価格が変動するたびに評価損・益が出るため避けては通れない。今回も在庫評価損を除いては黒字であると説明しており理解を得ている。だが、在庫を除いては黒字であるが安心できるものではなく厳しい状況にある」と語っている。
 在庫評価損は、石油業界全体では約8000億円が見込まれ、4~12月決算ではJXが2920億円、出光が697億円、コスモが618億円、富士石油が198億円と巨額となっている。12月期決算の東燃ゼネラル石油が865億円、昭和シェル石油が512億円の在庫評価損を織り込んで決算を行なった。決算では赤字となっているが、現金が不足することはなく、両社とも配当は年間38円(期末は18円)を実施することを決めている。在庫評価損は、シェアに応じた数字となっており、各社は期末配当を予定している。
 在庫評価の影響をみると昭和シェルの場合は、精製部門が分離しており、昭和四日市、東亜とは委託精製となっているため、昭和シェルが原油を保有しているため在庫評価損が発生する。だが、グループの西部、富士石油は自社で原油を保有して処理しているため在庫評価損が発生するため差異はある。
 また、前年は原油価格が値上がりしたため在庫評価益が発生しており、今年は逆に評価損が発生したため前年対比でみると評価損失が拡大することになる。
 1~3月については、すでに1月が40ドル台に下落しているが、2月では55ドルへと値上がりしている。今後の原油価格次第となるが、値上がりすれば在庫評価損が相殺される。3月期通期見通しでは1~3月を50ドル、為替を120円/ドルを前提に見通しすると在庫評価損が拡大することになっている。JXの通期見通しでは4300億円、出光は1370億円の在庫評価損の拡大を見込んでいる。だが、原油価格が3月までに急騰すれば、在庫評価損は減少する。だが、仕切価格も値上げ、ユーザー転嫁ができるのか否かが問題となる。現在、2月値上げの最中であり、どこまで浸透してマージンを確保できるかがポイントとなる。在庫評価損は、今後の原油価格次第となるが足元が55~6ドルであり、値上がりが予想されるものの緩やかな値上がりとなるのが大方の見方となっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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