2015.02.27 のニュース
値下げ防戦から一転、値上げへ 業績回復を狙いコスト増転嫁
石油業界は、原油価格の急落で巨額は在庫評価損が発生したため4~12月の決算は大幅な赤字となったが、今度は原油価格の値上がりで、コスト増の回収、仕切価格の値上がりよるユーザー転嫁に取り組むことが急がれている。1~3月で業績回復を狙うことになる。
今までは下げ過ぎを防戦する守りの状況であったが、2~3月は、逆に原油価格の値上がりから、値上げに取り組むことになり、攻守が交代するがことになった。
原油価格の変動は石油業界の業績は、大きく影響するが、昨年秋以降、今年1月まで長期にわたって下落したため、在庫評価損によって赤字となった。だが、この赤字は企業努力ではカバーできるものではない。在庫評価損・益は、避けることはできない石油業界独自の問題であり、分りにくい。
原油価格は、ようやく2月で反転したことになるが、今度はコスト増の転嫁に取り組むことになる。原油価格はドバイで57ドル/バーレル、WTIが50ドル、ブレントが60ドル前後で推移している。1月の底値から2月で値上がりとなっているもので、ドバイは1月14日の42ドルの底値から2月に入って15ドルの値上がりとなっている。12月末の52ドルからみると今年1月で一段の下落で40ドル台となり、30ドル説も出たが、シェールオイルが減産となるなどの動きもあり底打ちとなり、12月水準に戻ったことになる。
11月末のOPEC総会での減産見送りで、急落したため、ドバイは1月が40ドルの底値となり、2月で値上がり50ドル台に戻してきた。ブレントは60ドル台となってきたため、ドバイも60ドル台乗せも予想されてきたが、一服状態となっているようである。
WTIが50ドルとブレントが60ドルと約10ドルの価格差が生じており、WTIの値上がり幅が少なく、アメリカの国内事情である原油在庫増が値上げを抑える要因ともなっているが、足元は49ドルへ下落している。ブレントは、リビア、イラン、イラク、イスラム国の胎動など地政学的リスクなどを反映して値上がり局面となっているが、見通しは難しい。
各社の1~3月の業績見通しでは12月相場の原油価格は50ドル、為替は120円としており、足元は50ドルを上回って57ドルとなっているが、見通しの50ドル推移すると3月期決算では、さらに在庫評価損が拡大することになっている。値上がりすれば、在庫評価損が縮小することになる。
決算上では、原油価格の値上がりを歓迎するが、ただ、原油価格が値上がりするとコスト増の転嫁が問題となる。現在、仕切価格の値上げを実施しているが、完全に転嫁できないとマージンが減少して実質赤字となるケースも予想される。原油価格が値上がりすると在庫評価益が発生して決算の数字は黒字となるが在庫評価益を除くと実質赤字となる逆の状況になる。
石油業界は、大量の在庫を保有しているため、常に原油価格変動の影響を受ける。急落した4~12月期の決算では巨額な在庫評価格損が発生したため、大赤字となった。赤字となったが、在庫評価損は会計上の処理であり、これを除くと黒字となり、キャッシュフローは増加し、剰余金もあるため配当する予定となっている。赤字であるが現金は増加しており10~12月の市況は下落しているがマージンを確保している。