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2015.04.09 のニュース

平時から一定の石油需要の確保を 石油火力の新しい位置付けを求める

 総合資源エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委(エネルギーミックス委)では電源構成の議論に入っているが10日には化石燃料(石油、石炭、LNG)などを議論する予定である。
 石油連盟では「エネルギーミックスにおける石油の重要性、電源ミックスにおける石油火力の位置付けを明確化にすべきである」とのエネルギー政策への提言をとりまとめており、平時から一定の石油需要を確保するよう要望している。
 一定の需要とは、電源構成で10%以上のシェアの確保を狙っているが、コスト高を理由に石油火力が敬遠されているため厳しい立場にある。東日本大震災を機に、以前からも審議会の場でも要望しているが、商業ペースの問題であるため難しい面もある。
 石油の構成比が決まっても、実際は電力会社との商取引き問題であるため簡単ではない。コスト面からみて石油が割高であるため不利となるが、今後も原油安が続けば石油への回帰も期待できる。しかし、電力も自由化が決まっており、コストを保証する総括原価方式から市場原理方式へ移行するため燃料コストでの競争は厳しくなる。安定供給、コストの立場から石油を確保するか否かは電力会社の判断となる。原油の割高が続くことになれば、何らかの助成策を求めるのか、電力料金に転嫁するのかの方策が求められる。    
 電源構成に占める石油の比率は、東日本大震災前の2010年は8%であったが、災害後の11年が14%に12年が17%へ増加しており、13年度は14%へ減少している。
 それでも電力の受入量は増加しているが、原発に代わって石炭(13年)も28%、LNGが41%へと増加している。ちなみに前回の計画の2030年の長期見通しでは石油は2%、原発が53%、石炭が11%、LNGが13%となっていた。
 石油はエネルギー基本計画では「ピーク電源としても一定の機能を担う、今後とも活用していく、重要なエネルギー源となる」としているが、ピーク電源は、送電(運転)コストは高いが電力需要に応じて出力を機動的に調整できる電源として、石油、揚水式発電をあげている。
 一方では、石油火力については、1997年のIEA閣僚コミュニケでは「ベースロード用の石油火力の新設、リプレースを禁止する」と定められており、日本では、この枠組みを遵守している。その結果、新、増設はなく、古い石油火力が稼動しているのが実態である。東日本大震災時でも停止していた古い石油火力を再稼動させて電力供給確保した。 このように過去にも地震などの災害時で原発が停止した時期、猛暑で電力需要が急増した場合には、石油火力が頼りとなり、オーダーが集中した。しかし、平時に戻ると石油はカットされるのが実態である。緊急時に限って石油の供給を求めるのではなく、平時から一定の需要を確保すべきと要望している。
 発電コスト面からみれば安いのは原発、石炭であり、高いのは石油、LNG、再エネとなる。温暖効果ガスの排出量は、原発、再エネはゼロ、多いは石炭、石油となり、少ないのはLNGとなり、いずれも一長一短がある。石油はピーク電源を位置付けられており立場は弱いが、平時から一定の需要は確保されるべきである。
 エネルギーミックス小委の議論は、すでに再生可能エネルギーと省エネルギーの議論を先行させており、残るは化石燃料と原発の撲成比となる。原発の構成比は40年、60年廃炉を前提にすると15~20%となる。再生可能エネルギーは20~30%との案が出ている。すでに経済同友会では「20%程度を下限することが現実的である」との提言を発表している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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