2015.04.22 のニュース
新年度は原油60ドルでスタート 新事業、投資計画など見直しも
4月の新年度入りとなり、原油価格(ドバイ)は60ドル/バーレル台に乗せてきた。石油各社は、3月期決算の発表、6月末の総会を経て、これから27年度計画、中期計画を策定してスタートさせるが、発射台のスタートの原油価格は55~60ドル/バーレルとなる。
原油価格は、今年1月の底値(14日が42ドル)の40ドル/バーレル台に比べると2月で平均で55ドルに値上がり、3月で50ドルまで値下がりしたが、4月で再度値上がり60ドル台となり底値からは20ドルの値上がりとなった。今後は足元の60ドルがポイントとなる。 最近の原油価格の上昇は、イエメンでの軍事衝突などの地政学的リスク、アメリカの原油在庫の減少、シェールオイルの減産などの要因が指摘されている。為替は120円/ドル前後の円安で推移している。原油価格は値上がりに転じており、石油業界では、40ドルの底値からの脱出を歓迎している。原油安は、石油需要の回復に繋がるとして歓迎する面もあるが、一方では、大幅な減収、減益が見込まれるためマイナスとなる。今までは原油価格を100ドル/バーレル台を前提に投資、事業計画を策定しているため、27年度は見直しが求められる。減収となってもマージンが確保できれば利益増も見込まれるが、石油の場合は、数量が多く、かける単価となる増収、増益を前提としている。
ここにきて値上がり局面となってきたが、緩やかな値上がりで50~60ドル相場で推移するとの見通しが多く、この方向となってきた。元売の3月期決算では、原油価格の急落による巨額な在庫評価損の計上となる。
12月時点では3月期決算の見通しでは1~3月の原油価格を50ドルと予想していたが、3月末は55ドル程度となり、原油価格は上昇したため、見通しよりも在庫評価損が縮小されている。在庫評価損が発生したため赤字であるが、これを除くと黒字となる。ただ、原油価格が値下がりしたため先取りして市況が下落したため、利益を吐き出したことになり、元売、販売業者どもマージン減となっており、業績は悪化している。
3月期決算は、これから発表となるが、すでに4月から新年度がスタートしている。ここにきて原油価格は60ドル台で安定しており、今後も安定して推移すれば、業績は回復する貝通しである。
一方、販売業者サイドをみると、昨年秋以降、仕切価格が連続して値下がりとなり、ガソリンの末端市況は、競争して値下げした。この値下がり局面の途中では末端市況の値下げを遅らせて、維持することで利益を確保したが、最後の2~3月では下げ過ぎとなり利益を吐き出して赤字となったようである。 業転市況が値下がり、PB、HC、量販店の安値攻勢もあり、これに対応して値下げしたため赤字となった。さらに昨年は4月からガソリンは販売減となり、SS経営は悪化した。昨年4月からの消費税の増税を前にして3月に駆け込み需要が増加となり、4月は、その反動で前年比で8%の大幅な減販となった。加えて夏場は台風、大雨の影響で減販となり、・上期では5・5%の減、通期見込みでも4・3%減となっている。減販は大きく影響した。この大幅減となったため、その反動で27年度は0・3%増という皮肉な数字となっている。プラスは久し振りとなるが、2年で平均すればマイナスとなる。