日刊ニュース

2015.05.14 のニュース

不可解過ぎる小売市況の出現

 ガソリン小売市況が極めて不可解な状況になっている。主因の1つは透明性の欠如が進む現行の仕切り体系だろう。本当の仕入れ値は「いくらなのか」と販売業者に困惑が広がっている。こうした状況下で、健全な小売市況が形成される訳がない。晴天続きだった今年のGW商戦だが、ガソリン収支を改善する機会を廉売競争で逃したSSも多い。もちろん、採算経営に徹したSSが多くあることも承知しているが、東名阪などの需要地を中心に130円割れの超安値が出現した影響は大きい。安値に追随すれば量は確保できるが採算は悪化、採算重視すれば減販ということになる。
 超安値を出しているのは業転問題で話題になるPBSSだけではない。系列SSにも広がっており、中には元売販社・CAのSSもある。130円の小売価格とは、消費税抜きでみると119~120円である。特約店向けの系列仕切りと同水準だ。もはや系列仕切りは建値だから参考にならないという指摘もあるだろう。ただ、元売がかねてより安過ぎると不満を持つ陸上現物も、製油所油槽所渡しで現行115~6円の水準である。これにローリー運賃が加算されることを考えると、超薄利の小売市況が各地で発生していることになる。一部には依然125円絡みという小売価格もある。消費税込みの陸上現物と同水準、このままなら“業転価格割れ”という論外な小売価格を表示する系列SSも存在する。「今週も卸は値上げ。そうした中、125円の小売価格が不当廉売にならないなら、系列仕切りだけでなく、もはや業転指標すら割高に不透明化し出したと考えるしかない」(PBSS)との指摘もある。
 元売の販社・CASSがこの市場環境下でも依然、2番手追随することをやめないのも不可解である。首都圏などの需要地で最大勢力を誇るのは今や元売と連結決算でつながる販社・CA群であり、市況悪化の影響で本来最も多く出血しているはずである。小売市況は深刻な消耗戦に突入していると一言で評する見方もあるが、仮に販社・CA群だけが生き残るようなことになれば、販売業者として納得できないし、これほど不可解なことはない。不透明化する仕切り体系、仕入れ値を後回しに売り急ぐ量販SSや販社・CA群の拡大、さらには信頼性の高い価格指標の欠如など、経済合理性を持たない国内市場問題が一気に噴出している。

提供元:全国石油商業組合連合会
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