日刊ニュース

2015.08.27 のニュース

原油安、円高で一気にコスト安に 再度、市況下落が予想される局面へ

 中国の経済減速、株価の下落の影響を受けて、世界同時の株安、原油安、ドル安(円高)となってきた。原油は24日にWTIが40ドル/バーレルを割って38ドルへと2ドル下落、ドバイは42~3ドルへと値下がりした。為替も118円/ドルへと5円高となってきた。株価も1万8000円割れとなり、国内の景気にも影響が出そうである。
 原油安、円高ではコスト安となってきたため、仕切価格の値下がり、ガソリンなどの末端市況も再下落が予想されてきた。東商取の先物もガソリンは49~50円/リットル、灯油は41円、原油は36円へと値下がり、業転市場も値下がりしてきた。
 原油価格の下落は、元売の業績には大きな影響を与える。コスト安となれば、仕切価格を値下げすることになるが、コスト安分より値下げしなければマージンは確保でき利益は見込まれる。しかし、原油価格の値下がりで在庫評価損が発生することになり、これは防止ができず業績は悪化する。
 4~6月の平均のドバイ原油は61ドル/バーレルで推移した。1~3月の52ドルに比べると約9ドルの値上がりとなり、在庫評価益が発生したが、足元は42~3ドルとなっているため20ドル弱の値下がりとなり、7~9月では在庫評価損が発生するため、業績は悪化する。原油価格が一段と値下がり局面となり、業績は厳しい状況となってきた。
 前3月期決算は、原油価格の急落で巨額な在庫評価損が発生したため赤字となったが、今年4~6月は黒字となり、業績が回復した。だが7~9月では再度、原油価格の急落で赤字が予想される状況となってきた。原油の変動に伴う在庫の影響は、企業努力では、避けることはできないため、これは容認せざるを得ない。
同じ土俵に立ったため、取り扱う数量によって在庫評価損の額は違うが止むを得ないところである。
 原油安、円高によるコスト安となり、今後は仕切価格の値下がりが見込まれる状況となり、ガソリン市況は再度、値下がりが予想されている。街道沿いは130円の攻防となっているが、安値量販店は120円割れとなってきたため110円台が多くなってくる。割安感からユーザーの消費節約意識が薄れて増販期待となるが、安値となっても、大幅に売れることもなく、数%の増加に止まるため、安値販売にも限界がある。
 コスト安は、市況が維持できればマージンが増加するため本来ならば石油業界ととっては有利な局面となる。だが、先取りして値下げすることが多くコスト安分以上に値下げして利益を吐き出すことになる。結果的には、値下がり局面がコスト安では有利とならず赤字となる。値上がり局面の方が黒字となるケースが多い。その反面、値上がり局面では、コスト高を転嫁しないと赤字となるとの危機感が強まり、値上げを達成するため需給をタイトにするなどの方策が打ち出されるため値上げが浸透することになる。
 値下り局面では、コスト安のため、市況を維持すれば、マージンが確保できるとの安心感が裏目に出て価格競争が展開され下げ過ぎて赤字となる。
 7月以降は、値下がり局面となっており、先取り値下げが続いている」。その連続過程にあるが、ここで一段と値下がりとなると、新しい相場づくりが必要となってくる。ガソリンは110円台相場形成される状況となる。仕入れ価格が安値となり運転資が楽になるがマージンも少なくなるなど取引き条件も変わってくる。しかし、安くなってもガソリン販売は増加することはない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE