日刊ニュース

2015.08.31 のニュース

世界的株安でSSが考える事

世界同時株安に世界経済が揺れ、その影響から原油安も進んだ。かつて原油は経済の血液とまでいわれたが、株価と同様に価格動向は経済の状況を映す鏡である。8月25日終値で米国原油指標のWTIがバレル38.24㌦に下落し、6年半ぶりに40㌦台を割り込んだ。欧州ブレント、中東産の他指標も下落し40㌦台前半での値動きを続ける。
 よく比較されるリーマンショック時のWTI最安値は2008年12月の33.87㌦。そこまではまだ落ちていないものの、今回の原油安はリーマン時より先行きへの不透明感は強い。原油安が長期化していることも大きな特徴だ。WTIが100㌦の大台を割ったのは昨年7月30日で、それ以来、3桁には戻っておらず、そこから数えれば値上げ値下げがあったため、断続的だが原油安はすでに1年以上に達する。リーマン時はもちろん、過去の石油ショックと比べても様相が異なる。
 下落の要因も、米国シェール増産、OPEC減産の不調、ギリシャ発のEU危機、イラン核問題、米国金利上げ、そして、中国経済の減速など政治、経済の両方にまたがり、構造的でかつ複雑多岐にわたる。これに投機筋の思惑による売買も重なれば、価格変動性の高さは過去比類ない状況と言ってよいだろう。予測不可能な展開とは、わかりやすくいえば暗闇の中を進むようなものである。極めて慎重さが大事になる。
 米国エネルギー情報局(EIA)が8月11日発表した15年のWTI価格予測(月間平均値)は8月=45㌦、9月=44.5㌦、10月=44㌦、11月=45㌦、12月=47㌦。原油急落の中、そのEIAも7月予測を下方修正、さらに8月予測も直近値(1~24日)までの実勢値平均42・86㌦よりは高い。予測の難しさは感じつつだが、EIA予測は10月まで原油安が続くとみている。
 もう1度、昨年を思い出そう。ガソリン販売量は伸び悩み、原油高の中、コスト転嫁が遅れ続け、慢性的な低マージンに陥った。その後、冬場に向かい原油が急落し、季節商品の灯油も含めマージン回復が進み、1年を乗り越えることができた。一方、今年はどうか。原油安は足元で発生している。ガソリン販売量は猛暑と価格低下で好調だが、実りは明暗が分かれるようだ。この1年を乗り切るため、次代へと事業継続をするため、なんとしても「1円の重み」を思い返す晩夏にしたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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