日刊ニュース

2015.08.31 のニュース

原油下落でガソリン値下がり続く 業転玉が出回り先行値下げで混迷

 ガソリン市況の下落が続いている。石油情報センターの調査価格(24日)では、136円70銭/リットルとなり、前週比で1円50銭の値下がり、7週連続の値下がりとなった。通算では7月初めの145円に比べると8円の値下がりとなっている。
 東京は139円、神奈川は134円、埼玉は131円へ値下がりしている。首都圏の街道沿いの販売価格は130円の攻防が続き130円の維持が難しくなっている。量販店(セルフ)は120円台となっている。高値は長崎、鹿児島の145円であり、埼玉との価格差は14円となっている。
 ガソリン市況の下落は、原油価格の下落による仕切価格の値下がりが反映しているが、業転の値下がり、原油下落を先取りした値下がりなどの要因も重なっている。
 需要は最盛期であり8月販売は増販となっているが、製油所の定期修理が終わりフル生産となったため、供給余力が出てきた。そのため需給が緩和してきたためである。業転玉の出回りも多くなり、業転も値下がりしてきたためである。業転は先行して値下がりしており、東石商の調査でも104円となり、系列仕切価格の115円と比べると、11円の価格差がついている。足元は値下がり局面であるため、混迷しているが、東商取のガソリンの先物は47円(ガソリン税抜き)、原油は36円と値下がりしている。
 ガソリン販売は、連曰の猛暑でカークーラーの使用増もあり、前年に比べると増販となっている。さらにガソリンの安値が120円台となり、昨年の170円相場に比べると大幅な値下がりとなり、節約ムードが解消されたことが増販に繋がったことになる。しかし、安値になったとしても、大幅な増販は見込めず微増となり限界がある。今年8月は3%程度の増となったが、昨年が天候不順で6%減となっているための反動でもある。
 ガソリン販売の基調は、省燃費車の増加で1台当たりガソリン消費は確実に減少しており、マイナスとなっている。
 省燃費車が普及することになると、SSでも固定したユーザーを囲い込んでも、1台当たりのガソリン消費量は減少するため、現状を維持していると減販となる。
 固定客の多いSSでは、じり貧となり、新期顧客を獲得しないと、経営難となる。そのために新客誘致するため、新規カード会員の獲得、割引販売、特売日での安値販売などのキャンペーンを実施している。新しい顧客の獲得を狙って安値販売をすることになると、実売の販売価格を値下げすることになり、増販しても利益増に結びつかないため、薄利多売の商法が続くことになる。
 それでも増販、増収を続けないと生き残れないため、安値での販売が続いている。その競争に敗れれば廃業、撤退となるが、全国ではピーク時の6万SSから3万3500SSへと半減している。セルフは9530SSとなっており、今後も増加するが増加のテンポは遅れる。
 SSの配置は都心部では激減しており、ピーク時に比べると20~30%に減少しているため、過疎化現象が生じている。都心部は地価が高く用地が転用できるケースのSSが減少しているが、これだけ減少すると都心部でも緊急時ではSS不足も問題となってくる。災害時対応で中核SSの設置が難しいケースも出てくる。
 農村地区では、廃業したSSが、そのまま放置されており、過疎地対策が問題となっている。エネ庁では対策協議会を設置して検討に入っている。過疎地対策は農村地区となっているが、都心部でも緊急時では過疎地が問題となってくる状況にある。SSの減少は今後も続くが、ガソリン需要の見通しと同じく、どこまで落ち込むのかは分からないところが問題となる。
 しかし、まだまだガソリン車の時代が続くと見て対応することになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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