日刊ニュース

2010.11.25 のニュース

上期の黒字下期にも継続 ―石油製品マージン確保がカギ―

元売の上期決算は、石油製品のマージンが確保されたため黒字計上となった。前年が実質赤字であったため、大幅な増益となったが、天坊石油連盟会長は「上期は黒字となった。だが、昨年度の石油業界は3000億円の赤字を計上しており、まだ再投資が可能な満足できる水準ではない。この状況が今後も続くことが望まれる」と述べている。今年度下期も上期と同様に、引続きガソリンなどの石油製品のマージンが確保できることがカギとなる。
 今のところマージンは確保されているが、原油価格がここにきて乱高下しているため、厳しい状況になりつつあり心配されている。
 各社の上期の決算が黒字となったのは、需要も小幅であるが増加したのと、需要に見合った生産で対応、需給が調整されたため市況が堅調に推移、石油製品マージンが確保されたことが大きな要因とみられている。
 各社の上期決算をみると、JXの石油事業の経常利益は428億円、上期は原油価格が値下がりとなったため在庫評価損が352億円発生しており、この在庫影響を除くと780億円の利益となる。そのほか、金属石油開発で利益があり、連結経常利益は1151億円となっている。出光の石油事業の営業利益は310億円となり、在庫影響を除くと401億円、連結営業利益は530億円となった。コスモの石油事業の経常利益は81億円、在庫影響を除くと207億円、連結経常利益は267億円となっている。
 各社の石油事業は黒字となったが、そのほか石油開発事業に取り組んでおり、原油価格が76ドルの高値で推移したため石油開発で利益を確保した。石油化学は海外市況が低迷したため、利益は小幅に止まっている。
 このように上期は、石油製品のマージンが増加したため、2年間続いた石油事業での実質赤字が、ようやく黒字に転換したことになる。
 赤字となったのは、08年の原油価格の乱高下、同年9月のリーマンショック以降世界の経済が混迷したため石油需要が減少、供給増となり市況が下落、精製マージンが減少した。世界の精製業はメジャーを含め赤字となった。海外市況の急落は、国内の業転市況にも連動して安値で推移した。同じくして業転市況リンクの新体系を導入したため元売各社の業績は悪化した。
 各社は仕切価格改定への取り組みを検討していたもので、月決めのコスト連動方式ではタイムラグが生じ、元売が不利となるとみて、週決めの業転市況連動に変更して新体系に移行した。だが、原油価格の値上がりを想定したものであったが、タイミングが悪く、原油の急落時と重なり、国内市況は原油価格の下落を先取りして値下がりしたため、石油製品マージンが確保できず、赤字状況が続いた。販売業者も市況下落でマージンを確保できず赤字となり、石油業界は共倒れが心配されていた。
 また、販売減が続き供給増が深刻化したため、過剰設備問題がクローズアップされた。各社は減産、トッパー能力の削減に取り組んだが、想定以上の需要減が続いたため需給は混乱したが、ようやく減産で各社の足並みが揃い、その効果もあって上期は需給がタイトで推移した。製品在庫も低水準で推移したため、マージンが確保できる水準となってきた。

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