日刊ニュース

2016.03.24 のニュース

新・官公需時代へのキックオフ

昨年8月に閣議決定した「平成27年度中小企業者に関する国の契約の基本方針」では、国や地方公共団体は災害協定を締結した石油組合などに対して平時から随意契約や分離・分割発注などの配慮を行い、受注機会の増大に努めるように記されているが、今回はこれを背景に神奈川石協が画期的な成果を上げてみせた。
 画期的と考えられる点は大きく3つある。まず1点目は神奈川県警察本部と基本方針に則った形で随意契約を締結したこと。ここまで来る道のりは平坦ではなかったと聞く。従来まで同県では各警察署ごとにガソリンなどはそれぞれ地元SS等に発注されていたが、昨年4月に県警本部が一括発注で行う一般競争入札制に移行。第1回目では県外大手商社の発行する元売発券店値付けカードが落札した。
 それまで警察署に納入してきた中小SSが突然、蚊帳の外に置かれるケースが発生し問題になった。警察署に詰め寄るSSオーナーも現れた。彼らの言い分は「3・11の際あれだけ協力関係をつくり供給に奔走したのに、なんの相談もないのか」などの無念さだった。石協に対しても様々な意見が上がったが、第2回入札では石協が落札、組合員の納入機会を回復させ、昨年11月には神奈川県と災害時協定を結び直し、最終的には随意契約までしっかりと射止めた。
 2点目はタブレット端末を使用する全国初の官公需カードシステムを構築したこと。需要側にはカード1枚で組合員SSのどこでも同一のサービスが受けられる利便性を提供できるほか、組合にとっては手作業の伝票処理など煩雑さが解消する。官公需の可能性を飛躍させる重要なツールが誕生した。
 そして、3点目は同石協における一連の対応である。一般競争入札に対する不満の声が相次ぐころ、組合員には「県警に白紙撤回させ、従来の警察署単位の発注方式に戻させるべき」との強硬な意見も多かったが、県警が求めているのは、広域捜査を行う際の利便性や事務処理の効率化であるというニーズを的確に捉えた。その結果がカードシステムを誕生させることになった。
 ややもすれば時計の針を戻す議論がされる中、時流も見極め、元売カードに利便性では勝るとも劣らない仕組みをつくった。戻るどころか時計の針を大きく前に進めた判断力、実行力は特筆される。官公需は新しい時代へと進み始めている。

提供元:全国石油商業組合連合会
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