日刊ニュース

2010.11.26 のニュース

環境税など税制改正は不透明 ―石油税の増税が有力視される―

 政治が混迷状況にあり、来年度予算、税制改正が、いつ決まるのか見通しは難しくなっている。景気回復を狙った補正予算は審議中であるが、政府、民主党は柳田法務大臣の更迭で正常化を図ることになったものの、いつ収拾されるか不透明である。補正予算は近く成立するが、来年度予算は年内に編成ができるのかも難しいとの心配も出てきた。
 税改正、法案の審議も遅れそうである。目玉策である温暖化対策基本法はこれから審議に入るが、年内に成立することは難しいとされている。この基本法が決まらないと、CO2など温暖効果ガスの25%削減の中期計画も根拠を失い、一連の政策も実施が不可能となる。民主党政権が発足、前鳩山首相が世界に公約した目玉策であったが、肝心の基本法の成立が危ぶまれている。基本法の成立は後に回し、まずは環境税、温暖化対策税の導入を決める方向にあるが、民主党内での審議も遅れている。基本法が決まらないのに環境税の導入を先に決めるのは、整合性を欠くとの見方もあるが「はじめに税あり」ということで、環境税の導入が先に決まりそうである。
 昨年の税制改正大綱で「地球温暖化対策のための税について、当分の間として設置される税率の見直しを含め、平成23年度実施に向けて成案を得るべく更に検討を進める」としている。そのため、12月末には政府・税制調査会で決めることになるが、その前に、民主党の税制PTで議論に入っているもの。
 民主党の政策は、誰がどこで決めるのかが分からないと云われていたが、昨年は前小沢幹事長の鶴の一声で決まった。最近は、誰が決めるのか、キーマンが分からず不透明である。最後は時間切れでの先送りも予想されるが、時間切れを理由に、審議することなく強引に決めることも予想されるため予断を許さない。
 今のところ、経産省の石油石炭税の強化(増税)で対応する案が出ている。民主党のマニフェストによれば「将来はガソリン税、軽油引取税は、温暖化対策税として一本化する。その際、地方財政を配慮しつつ、特定の産業に過度の負担とならないように留意した制度設計を行なう」としている。環境省は、ガソリン税などの暫定暫定税率分の活用、財源は森林整備、社会福祉などに使うことも予定している。
 環境省案に対しては、使途を環境対策以外に拡大し、ガソリン税などの財源を使うことは、税の受益者負担の原則に反する。環境対策以外に使うとなれば、消費税(増税)などで賄うべきであるとの反発が出ている。
 そのため今回は、石油石炭税の増税案が有力視されている。しかし、現在でも環境対策予算に約1兆円以上の予算が計上されている。各省でみると文科省が1700億円、農水省が2500億円、経産省が5000億円、国交省、環境省が各1000億円となっている。
 その政策効果、技術的な検証を行なうべきである。今回の増税案も、その使途は明確に示されていない。
 経産省案も環境対策(太陽光発電など)に使うことにしているが、環境省の新税(環境税)の創設に対抗したものであり、新税を阻止することで、環境政策の主導権は維持することを狙っている。

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