日刊ニュース

2016.12.21 のニュース

「満タン&プラス1缶」運動

 クルマにガソリンが10㍑余分にあれば、家庭に灯油が1缶(18㍑)余分にあれば、どれだけ災害時に有用か。
 東日本大震災を経験した福島石商では、大震災の翌年3月から「元気ガソリン」と銘打ちガソリン満タン運動を継続しているが、この精神に灯油の軒先在庫プラス1缶を加えて、「満タン&プラス1缶」運動を「元売(石油連盟)と一体となって全国展開すべきではないか」という提案が、先週開催された全石連経営部会で了承された。東日本大震災や熊本地震において、営業SSに長蛇の車列、大規模停電時の避難所や被災地の家庭における灯油の活躍が印象に残った。余震が長引いた熊本では、最低限のプライバシー空間と情報が入手できるクルマが最も頼りにされる避難所となった。
 ガソリン10㍑があれば、平均130kmの移動が可能になる。非常時以外は推奨できないが、アイドリング状態で10時間以上稼働することができる。灯油18㍑があれば、3700㍑のお湯、550㍑の熱湯が確保できる。平均的な木造家屋の8畳和室なら85時間も温め続けることができる。
 元売やSSにとって、クルマ側のガソリン残量や家庭の灯油ストックに余裕があれば、発災直後のパニック買いが抑制される効果が期待できる。エコ運転派から見れば、車重が増すガソリン満タンは、やってはいけないことの1つとなっているが、それはお客様が選択すれば良いことであり、共通の標語を用いてソフトに呼びかけるのだ。
 あくまで皮算用だが、6千万台のガソリン車に10㍑余計に燃料がストックされれば60万㌔㍑、900万戸の灯油世帯にプラス1缶軒先在庫が増えれば16万㌔㍑の各余力が生じる。発災時に予見される石油サプライチェーンの混乱を抑制できるであろう。
 大規模災害に備えて、元売は自らの製油所からSSに至る系列BCPを強靭化した。個別SSは、地域の重要拠点を支える中核SSとなり、今後は8千ヵ所が自家発電設備を備えた住民拠点SSを目指す。お客様にも、家庭や職場の安心・安全に備え「満タン&プラス1缶」を呼びかけようというものだ。クルマを所有しないオール電化の家庭でも、飲料水や非常食の備えとともに、石油ストーブと灯油1缶を所持する有用性が理解されれば、石油需要の下支えにもつながるだろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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