日刊ニュース

2011.01.07 のニュース

天坊会長 石連賀詞交換会で挨拶 設備問題 民間では無理、政府も検討を

石油連盟は5日、経団連会館で新年賀詞交換会を開催した。席上、天坊会長は「わが国の経済社会を支える基幹エネルギーである石油ついての、業界としての抱負と課題は、安定供給確保に向けた取組みの強化である。《エネルギー基本計画》の中で位置づけられた通り、石油は2030年でもエネルギーの最大ソースである。最後の砦、ラストリゾートとしての石油の重要性がますます高まることは間違いない。国内需要が漸減する中、輸入・精製・輸送・販売という大きなサプライチェーンを健全に維持すること、平時から一定の余力を確保する等政策として組み入れる必要がある。エネルギーの安全保障の備えは、国全体の課題である。既に、昨年はSS過疎地の問題が顕在化するなど、サプライチェーンの一部崩壊が見えてきた。石油が担う役割やその実現策をどうするか、政策的な支援・仕細みが必要である」と語った。
 設備問題については、一現状も既に100万B/D以上の精製能力が過剰となっているが、今後、かなりの能力削減が進む。しかし、製油所の閉鎖は、地域経済・雇用への影響、コンビナート内の工場との関係もあって非常に難しい。エネルギー安全保障の観点から、どの製油所をどう残していくのか、石油化学産業の国際競争力の観点も含めて考えていく必要があるが、これは、民間だけでは不可能である。国益の観点から、エネルギーの中核を担う石油産業のあり方について政府の真剣な検討をお願いしたい」と強調した。
 地球温暖化対策については、「COP16では、ポスト京都の枠組みについては、何も決まらずに全てが先送りとなったが、京都議定書の単純延長という最悪の事態は避けられた。今後も、COP17に向けて予断は許さないものと思うので、更なる政府のリーダーシップに期待する。他方、国内においては、「地球温暖化対策基本法案」は継続審議扱いとなったが、これを機に、改めて、日本の取組みを検討し直す必要がある。景気後退の中、先進国の政策の優先順位は、温暖化対策から経済・雇用重視にシフトしており、日本だけが厳しい温暖化対策を行うべきではない。わが国の産業は世界最高のエネルギー効率を達成している。省エネ技術を維持・発展させ、経済と環境の両立を図る方策として、産業の自主的取組みを温暖化対策の中心に位置付けるべきである」と語った。
 石油税の増税に関しては、「地球温暖化対策税の創設が決定された。しかし、石油には、既に5兆円もの石油諸税が課せられており、多段階で複雑な税制であるため、徴税コスト等も大きなものとなっている。需要が減少していく中、これ以上の担税力はない。
 方針が決められてしまった以上、政府においては、せめて業界の厳しい実情に配慮し、安定供給に支障を来たさないよう、多重多段階な複雑な税制を石油消費税に整理し、究極的には消費税への一本化に向けた検討が必要かと思う」と述べた。
 排出量取引については「省エネが進んだわが国に導入しても、機能しないばかりか、マネーゲーム化の恐れ、国富流出の可能性、そして何よりも、石油の安定供給に支障となるので、今後とも、導入は絶対反対である」と強調した。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE