2011.01.11 のニュース
原油高に見合う価格なのか
年末年始にかけて、ほぼ丸2週間、卸指標が急伸した。原油高が引き金となって現物業転市況が値上がりしたことに連動したわけだが、これで5週連続値上がりで、累計でガソリンは5円、灯油は10円近くの各値上がりが、今週末までの卸価格に跳ね返ることになる。
卸市況の値上がりによって、まず原油FOB見合いで、7月の15円レベルをピークに、以降はカウントダウン症状に陥り、12月中旬には7円台まで低迷していた精製元売粗利が大幅に回復、ガソリン近況は10月下旬レベルの11円超まで失地を回復している。
一方のSSはどうであろうか。地域ごとに競争条件が異なるが、この1ヵ月間を小売価格において無為無策で過ごしたところは、大きなマイナスを被っていることは確実であろう。10円内外のSS平均粗利の中で、この5円を消化できる術は、卸に連動することでしか果たせないのは自明の理だ。
この年末年始は、多雪地帯は豪雪地帯に、少雪地帯は多雪地帯に変容した列島。元売は現物と物流確保に、SSとSSマンは、氷結したクルマやエネルギーが途絶えた地城への供給ラストリゾートとして、地域社会とクルマ社会を支えた。まだ地域内に120円台があるとか、隣のプリカ価格を非難する前に、まず自らを助ける、年末年始に大きな労力は払ったSSマンに報いるべきだろう。
はるか中近東でこの世に生み出され、運び、製品ごとに分留して磨かれ、地域の隅々まで個配され、SSを介してドライバーの命と地域生活者を支えたエネルギー・石油(ガソリン、灯油、軽油)自体にも報いるべきだろう。
幸いにも、天災・災害ともいえる天候によるこうした労苦から免れたSSは、なおさらだ。現在の原油価格は、我々が現状よりも平均7円高でガソリン小売販売を行っていた昨年5月と同レベルにある。精製元売は、そうしたレベルに追い付こうとしている。跳ね上がる一方の卸に、小売価格を連動させることに、躊躇してはいられない。
この2月には、経年劣化した老朽地下タンクヘの予防措置が義務付けられる消防法の省令改正が施行される。猶予期間は設けられたが、対象SSでは、新たな設備投資を行うのか、もしくは閉鎖するのか、いずれかの手段を求められる。この1年で喪失した失地を回復させよう。