日刊ニュース

2011.01.13 のニュース

今年から始まる系列の変化

正式名称は「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」。恐らくこれからの元売事業に、最も大きな影響を与えるであろう「エネルギー供給構造高度化法」が施行された。電気やガス、石油事業者などエネルギー供給事業者に対して、太陽光、風力など再生可能エネルギー、原子力など非化石エネルギーの利用や「化石エネルギー原料の有効な利用」を促進するために「必要な描画を講じる」法律である。
 「必要な描画」とは、経産大臣が基本的な方針を策定、エネルギー供給事業者が取り組むべき事項について、ガイドラインとなる判断基準を定め、事業者の計画的な取り組みを促し、その取り組み状況が判断基準に照らして不十分な場合には、大臣が勧告や命令をできる、というものだ。
 石油産業は、バイオ燃料のウェイトを高める方向に向かうとともに、重質油分解装置の一定装備率の義務化が精製元売に課せられ、装備率未達の元売は、巨大な設備投資を行って装備率(分子)を高めるか、精製能力(分母)を縮小するか。この二者択一が迫られる。縮小する内需に対して、巨額な投資を行って分子を高めることは現実的な選択肢ではなく、製油所の能力縮小も、競争力を削ることと同額となるから、製油所の系統丸ごとの停止・削減が現実的な対応になるだろう。
 行政指導のもとで、一気に精製元売の過剰生産能力の削減が進む可能性があり、需給が締まる効用も期待されるが、SS側にも痛みが伴う。場合によっては激痛になる。
 現在、北海道、四国、九州の3地区には3社5製油所がある。面積としては北海道に次ぐ東北地方でも1製油所のみとなっている。日本海側はすでにゼロである。これらの地域では、該当地域の主力製油所の有無が、SSの商流にかつてない変化を伴うことが予想される。石油産業の総体でみても、3製油所から1製油所となった沖縄と同様な変化が生じる可能性がある。
 個々の系列でみればなおさらである。シェア5%以内の元売が、1製油所のみの元売が、北海道から九州まで系列網を維持することは早晩、困難になるだろう。シェア10%以上の元売でも、平坦線の長く細い競争力の劣る地域からは、手を引かざるを得なくなるだろう。その変化が形となる元年が始まる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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