2011.01.13 のニュース
ユーザー転嫁は浸透へ ―原油高騰による仕切値上げ―
石油情報センターの週動向調査(5日)によるとガソリンは135円/Lで12月20日の年末に比べて1円の値上がりとなった。11月22日が132円であったため、これに比べると通算で3円の値上がりとなる。結果的には11月末から年始にかけて3円の値上がりとなったもの。
軽油も11月末が113円であったが116円となり、同じく3円の値上がりとなった。灯油はSS店頭価格で77円であったが、81円と4円の値上がりとなっている。
原油価格が12月で前月に比べ5~6ドル/バーレルの値上がりとなり、先物、業転市況が値上がりしたため12月の仕切価格はガソリンが2円強の値上げ、灯油は5円弱の大幅な値上がりとなっている。ガソリンに比べ灯油の値上げ幅が大きいのは灯油が需要期に入ったためで「灯油、中間留分高のガソリン安」という価格体系になってきた。
原油価格(WTI)の動向をみると、昨年7~9月が76ドル(平均)であったが、10月が82ドル、11月が84ドル、12月が89ドルに値上がりした。11月まで原油価格は値上がりしたが、為替が80~81円/ドルと円高に転じたため相殺され、コストは横ばいとなり、11月のガソリン仕切価格は据え置きとなった。しかし、原油価格は年末には91ドル台に乗せるまで高騰しており、12月は仕切価格が値上げとなったもの。原油価格は高値が続き、今後は100ドル説も出てきた。
このように原油価格が90ドル台に高騰してきたため、石油業界にも緊迫感が出てきたもので、年末にはガソリンのユーザー転嫁も浸透してきた。首都圏のガソリン市況は、街道沿いのボトム価格は130円に乗せて132円に値上がりしてきた。石油情報センターの調査価格も東京が136円、神奈川が133円、千葉が131円、埼玉が132円と11月に比べると2~3円値上がりしている。
軽油もガソリンの値上がりに連動して値上がりしている。
灯油は、寒波も順調に到来しており、市況も堅調に推移している。先物、業転市況は63円とガソリンに比べ5円程度の高値で推移している。SS店頭価格は80~85円と値取りができている。電気・ガスヘの燃料転換で増販は期待できないが、冷え込みが続いても前年の横ばいを見込んでいる。灯油は天候次第という要因が影饗するため、今後の天候が気になるところである。
灯油需給は今のところ在庫が低水準で推移しているため、タイトな状況が今後も続くとみている。元売各社も当初の思惑通り低在庫で推移するとみている。元売の仕切価格の値上げに対して、販売業者もマージンを確保するため、ユーザー転嫁に取り組んでいる。
ガソリン市況は昨年春から値下がりが続きマージンが減少していたが、ここにきて今までの未達分をも回収することを狙って、ユーザー転嫁に取り組んでいる。
一方、原油価格の見通しは難しいが、高値の予想が多い。その要因としては①アメリカの金融緩和策から投資資金が商品市場に流れる、②ヨーロッパでは寒波が到来している、③中国などの新興国の経済成長が続くため石油需要は増加する、などの点があげられる。